今日はお父ちゃんの安息日。
そう、本日は大手を振って羽を伸ばせる日なのである。
なぜなら昨日はめったにお化粧などもせぬ奥さまが、ジュエリーなどで着飾って、某ホテルのランチなんぞに出かけたのであるから、安酒あおるぐらいはゆるされるようというものなのだ。ああ、格差社会の縮図なり。
昼日中のお天道様がてらてらしている中で、むさいオヤジ3人組が集まって昼のみときめこんだ。
まずは勝手知ったる下町の雄、アメ横に集合。
ここの人混みはいつものことだが、年末が近づいてくるにしたがって、その喧噪さは日を追って増してくる。
土曜と云うこともあり、まあ賑やかである。
このあたりは昼のみを探すのに苦労することはなく、安酒あおるにはもってこいのロケーションである。
素人酒場放浪記の始まり始まり。
上野側から入り、きょろきょろと酒場をのぞき込むが、真っ昼間であるにもかかわらず、どこも大盛況で、席もあまり空いていない。
ならば、メリケン国のトップビジネスマンが嵐のように立ち去った厄払いとばかりに、呑兵衛の聖地でもあり、こちらはホンモノの○統領にむかう。
このあたりにはJRの高架下にずらりと酒場が軒を連ねている。
歪なテーブルに雑然と丸椅子が置かれ、肩寄せ合うように飲むのはまだ良い方で、立ち飲みなどもあたりまえなのだ。
店内をのぞくと、ほぼ満席のようである。かぐわしい焼き場の煙と酒のにおいで、腹のあたりの第二の脳が、はよせんかと、ぐうぐう鳴いた。
入り口でオヤジに声をかけられ、せわしなく店内へ。程なくしてカウンターテーブルに通される。
「生ビールでなく、ここは瓶でしょ」ということで意見一致。まずはよく冷えた瓶麦酒で乾杯。
昔は酒屋が運んでくれただの、メーカーに関係なく瓶が再利用されただの、取るに足らない話で盛り上がる。
続いてつまみを注文。モツ焼き盛り合わせ(塩とたれ)、特製煮込み、イカ焼き、ししゃも、なめろう、味付けガツ等々。
どれも安価であるが味がよい。モツ焼きの種類などよく分からぬが、どれもこれもうまいのだ。そりゃ、繁盛するわけだ。
そろそろ酒を変えようと、ひとりはハイボール、ひとりはホッピー、乙女のおじさんは梅なんちゃらサワー。
二時間ばかり馬鹿話しをしてお会計。一人あたま二千円弱なり。
今日は秋晴れで、ぽかぽかと陽気も良いので、ほろ酔いを冷ますのもよかろうと、浅草まで足を伸ばすことにする。
上野を抜け、仏具専門店を通り越し、カッパ橋へ。
ちょいと軒先を除くのも一興と、寸胴だの、包丁だのを、あーだこーだと云いながら物色していると、スタンダードプードルとばったり出会う。
犬好きオヤジ三人が、膝をついてありがたく触らしていただく至福のひととき。端から見たらさぞ気色悪かったろうに。
後ろ髪引かれながらロック座あたりで二軒目に入る。
牛スジをつまみながら、競馬中継をながめる。競馬を知らぬくせにエリザベス杯がどうだと解説者を気取る。ああ、なんだか幸せ。
早々に勘定をすませ、おでんかソバでもつまもうなどと云いながら、ふらふら浅草見物が始まる。
スカイツリーを正面に見据えながら木馬亭をすぎたところで、なんとも懐かしい紙芝居を発見。
訪日客を意識した外国語をまじえた黄金バットを披露。
紙芝居も進化しているのだなあ、と感心していると、
一緒に見ていた小学三年生ぐらいの子どもたちが、すぐにどこかへ駆け足で行ってしまう。
今の子どもたちには刺激が少ないのだろうけど、オジサンさんたちには消えゆく昭和を焼き付けられて幸せでした。
おじさん、いい声でしたよ。
浅草寺のお参りも済まし、土産物屋を冷やかしていると、連れ二人がお土産を買いたいというので、あれこれ見てまわる。
三軒目を探すのも忘れ、鯛焼きだ、大福だ、大学芋だ、揚げまんじゅうだと、酒から甘味へ方向転換。
散々歩き回ったせいで、疲れて酔いが回ったこともあり、四時を前にしてここでお開き決定。
飲み歩きとはいかずに尻切れトンボの幕切れとなったが、またの再会を約束し、オヤジ三人、背筋を伸ばして帰路についた。
