鳥インフルエンザが蔓延する物騒な昨今であるが、明治の御代でも鶏卵を食うか食わぬかで大騒ぎになったことがあったという。



昔より宮城縣荒巻村にては鶏卵を食へば氏神(神明社)の祟りありとて一般食はぬ事にして置きしを同村の三五郎と云う男が祟りも糸瓜もあるものか鶏卵は滋養物の第一等なりとて近頃頻りに買集めて喰ふよし専ら村内での評判に頑固野郎共は怒り出し三五郎を村拂ひせねば規則が立たぬと云ひ出して當時紛紜最中のよし


(仙臺日日新聞 明治十三年二月四日)



その後どうなったのかは定かでないが、神様の前では卵一つも大っぴらに食えぬ時代があったのだ。