今日は、ワゴンRくんとお別れしました。30年間苦楽を共にしてきた車なので、感慨深いものがあります。とても悲しいです。
運搬車に乗せられてどこかに行ってしまいましたが、この後はどのような運命を辿るのでしょうか。今回の廃車は、カーディーラー(販売店)に預けて自分がその場から帰宅するのではなく、このように車両運搬車に積まれて引き取られていくという手法でした。その様子を目の当たりにして、かなり心にダメージが残りました。
不思議なことがありました。車は生きていませんから、もちろん感情などありません。でも、きっと私たちの想像と理解を超えた「何か」があるのではないかと感じる出来事でした。
今日がワゴンRくん最後の日ということで、少しだけ遠出をして知人と一緒に駅前のラーメン屋に向かいました。毎週乗っていてこれまで不調に陥ったこともなかったので、機関は絶好調のはずでした。
ところが、ラーメンを食べ終えて、いよいよ車の引き渡し時間が近づいてきたために自宅に戻ろうとしたところ、これまでどんなときも1発でかかっていたエンジンが始動しません。セルが回るだけで、エンジンがかかりませんでした。初めてのことです。3回目でやっとエンジンがかかりました。車で走り出してみると、アクセルを踏んでも加速が鈍くて、エンジンが高回転で唸りをあげるだけでスピードが出ません。まるで、車が帰りたくないと意思表示をしているかのようです。
そうかと思うと、急にクラッチがつながったときのように(注:この車はマニュアル車ではないので例として)ドカンと加速して驚きました。どうして、手放す直前の運転でこのようなことが起こるのでしょうか。
まるで、車がお別れをしたくないと駄々をこねているようだと、同乗していた知人も言っていました。

連れ去られてしまう、というようなイメージを抱いてしまう瞬間でした。この後、動画も撮影しました。急いで歩道に出て、道路を走って去っていくワゴンRくんを撮影しながら見続けていました。それらの動画をご覧になりたい方は、ご遠慮なく私に言ってください。

地域の業者に委託しているのですね。今日引き取ったと思われる他の車と一緒に、ワゴンRくんもキャリーカーに乗せられました。きっと、これからあと1台、どこかで乗せるのでしょうか。この業者、恐らく昔にボルボを引き取りに来た業者と同じです。私の地元にあるはずです。業者同士でネットワークがあるのでしょう。



最後にしっかりと固定して、出発の準備が完了したようです。私には、ワゴンRくんが不安がっているように見えました。どこに連れて行かれるの?自分を捨てるの?と言っているかのようです。この車のテールランプのデザインが、人の表情のように見えるのです。上に見える別の車の表情は、涼しげです。偉そうですよね。ワゴンRくんは、身構えているようでもあり、悲しそうにも見えます。

車は、ついに出発して行きました。永遠のお別れです。ワゴンRくんは、私を恨んでいるかもしれません。テールランプの表情が、私を睨んでいるようにも、あるいは悲しそうにも見えてしまいます。涙を落としているのかもしれません。今頃、君はどうしているのかな。

ワゴンRくんは、この紙1枚になってしまいましたが、私はこの車と30年間共に過ごすことができたことに感謝しています。

我が国の自動車史に燦然と輝く名車が、また1台、まだまだ元気に走ることができるのに処分されてしまいます。奇跡的に購入希望者が現れて、乗り継がれていく可能性もあります。それを確かめることはできませんが、街のどこかで偶然見かけることができたら、この上ない幸せです。