金魚たちがSOSを発しているような気がした。水槽の水が、汚くなり過ぎていた。
忙しいことを言い訳にして、月に一度の水替えが滞り、間隔が長くなりがちだったと反省。すごく疲れていたが、気力を振り絞って作業をすることにした。
生き物を飼うということは、責任を伴うものだということはわかっている。たかが金魚、されど金魚、彼らは私が何もしなければ、命に関わるダメージを受けてしまうのである。金魚は犬や猫のような愛玩動物ではないが、私にとっては心を癒してくれる大切な存在なのだ。
調べてみると、金魚の平均寿命は5〜6年とのこと。ウチの金魚たちは、救出されて我が家に来てから、既に5年以上となった。前はすごく小さかったのになと、昔の彼らの姿が懐かしく思い出される。今では、水槽が小さく感じられるほど大きく育った。いつまでも長生きをしてほしい。
キレイな水に戻された金魚たちが、なんだか嬉しそうにしているようにも見えて、苦労も忘れてしまいそうだった。この作業は、これからも毎月続けていく。
そういえば、彼らには名前もつけてなかったなあ。適当に総称で呼んでいた。キン、キン達、金魚くん、金太郎、キンノスケ、金ちゃん、デカ…その他無数の言い方で勝手に呼んでいた。来たばっかりの頃は、ちびすけとも呼んでいた記憶がある。
5年以上も一緒にいるのに…そういえば、私は金魚の個々の見分けもできぬ。彼らのこんな声が聞こえてきそうである、
「吾輩は金魚である。名前はまだ無い。」




