令和5年1月21日(土)

「タンジェント」
at:ジャズ&バー クリッパー
開場:17時30分 開演18時
 
バンド名を変更しながら長年続けてきた「タンジェント」のライブですが、コロナ禍によってあえなく中断。しかし、昨年の夏に、不死鳥のように復活しました。その際のお客様のウケが大変よろしかったので、今後も活動を継続することにしました。そして、復活後2度目のライブが行われました。

ジャズ・スタンダード曲や国内外のポップス曲などを取り上げて、オリジナル・アレンジで演奏しました。私は勝手に「ニュー・スタンダード」と呼んでいます。観客数は18名、リピーターの方もいました。次回があれば、もう少し増やしたいところです。ちなみに、昨夏の復活ライブは、24人(実質22人)でした。少人数ずつの着席でも、丸いテーブルが全て埋まっている方が、満席感はありますね。今後、タンジェントの知名度が上がれば、行ってみようかなという方も増えるかもしれません。

演奏については、細かいエラーは多かったものの、何とかやり遂げることができました。それにしても、私の無理難題をしなやかに解決してしまうプロの皆さんはすばらしいですね。
観客の方からご質問を受けたのですが、彼らに演奏をお願いするにあたっては、もちろんそれなりの対価をお支払いしています。私がお支払いできるギリギリのセンです。薄謝で申し訳ないなぁといつも思うのですが、それでも引き受けてくださる皆様には、感謝あるのみです。定年退職の後にはこのようにはできませんから、あと数年、プロの皆さんとご一緒できる大切な機会を楽しんでいくつもりです。
さて、タンジェント3人の演奏についてのセルフ・レビューです。竹内さんと理恵さんは、アドリブのソロもよかったのですが、バッキングで汗を流すというか、目立たないところのさり気ない演奏が効果的でした。私のキーボードも含めて、3人の演奏は見事に融合・融和していました。これが、タンジェントが目指す演奏スタイルです。
私自身の生き方として、人を支える立場であることを望むので、プロのフロント2人、プロのリズム隊2人の間に挟まれて地道に協働して演奏をこなしていくという我々3人の在り方は、とても居心地の良い活動パターンであると考えています。竹内さんも理恵さんも、個々に思うことはあるでしょうが、全体的にとても良い演奏でした。
私のキーボード演奏は…反省しています。まずは、何人ものお客さんから、キーボードの音だけが小さかった、と指摘されました。自信がなかったから、自然にそうなっちゃったのかな。
今回は、久しぶりのキーボード担当ということで、自宅スタジオに本番と同じようにキーボードをセットして、音色切り替えや演奏の研究と練習をしました。その時から既に、以前とは違う違和感を感じていました。
あまりにも操作や演奏ができないので、かなり前にVIVIDさんが撮影してくださった昔のタンジェント演奏のDVDを視聴して、自らの演奏を振り返ることにしました。その映像で聴く自分のキーボード演奏は、我ながらハッとするほどよく、今では同じことができない自分が歯痒くなりました。当時も、今回のライブと全く同じキーボード配置で、重なっている曲もありましたが、操作や音量バランス、演奏技術等も含めて今では同じようにできないことが自覚できました。しかも、この時には、直前リハなど行わずに、直前に譜面を渡して打合せだけでいきなり演奏をしていたのです。
今日の演奏を録音した音源が生井さんから届いたので、早速聴いてみました。自身の演奏を厳しく振り返ると、DVDで視聴した以前の演奏と比べてもかなり酷いことになっていました。
ライブ演奏全体の雰囲気は、とても良かったと思いますが、やはり私自身の演奏が…(涙)
少し前に、NHKで坂本龍一さんの特集番組をやっていて視聴したのですが、そこで坂本さんが、今の自分は昔のようには演奏できないが、今できることを精一杯やるしかない、と言っておられました。そして、ピアノの生演奏を披露しました。きっと何回もやり直して、昔ほどではないが納得するテイクを何とか残すことができたのでしょう。インタビューの内容から、演奏家としての活動は今後行わないだろうということを察することができました。何だか涙が出てきました。
そして、最近の悲しいニュース、高橋幸宏さんの死去。彼も、かなり前でしたが以前のように演奏できなくなった自分自身の歯痒さについてインタビューで語っていましたが、音楽を愛していることには変わりはないとも言っていました。落語家の円楽さんの落語に対する思いも、同じようなものであったことでしょう。
いつの日か、私にとっての大切な人や、私自身も、時間が奪い去ります。自分で勝手に得意分野だと思っていたキーボード演奏でも、もはや昔のような演奏ができなくなったことを知った今回のライブでしたが、音楽活動ができる幸せを感じて、楽しかったです。
アンコール曲のナイト・アンド・デイは、大切な音楽友人のことを想いながら、心を込めて演奏しました。
コロナ禍以前のように毎月というわけにはいきませんが、3〜4ヶ月に一度程度のペースでクリッパー様で演奏できたら幸せです。
次回は、5月後半の開催を目指しています。
今回演奏した曲目を紹介します。( )内は作曲者等ではなく、参照した音源のアーティストや音楽ジャンルの表記となっています。

<1st STAGE>

TAKE THE A TRAIN (STANDARD JAZZ)

FLY ME TO THE MOON (NEW STANDARD)

IN MY LIFE (THE BEATLES)

REET'S NEET (PHILL WOODS)

MY ROMANCE (STANDARD JAZZ)

HOW DEEP IS YOUR LOVE (BEE GEES)

TEQUIRA (NEW STANDARD)

<2nd STAGE>

赤いスイートピー (SEIKO MATSUDA)

ハナミズキ (YOH HITOTO)

GEORGIA ON MY MIND (STANDARD JAZZ)

BATUCADA (LATIN)

FOR THE LOVE OF YOU (CANDY DULFER)

THE ROSE (KEN HIRAI)

WAVE (NEW STANDARD)

<ENC.>

NIGHT AND DAY (STANDARD JAZZ)