『カワルモノ、カワラナイモノ』

毎日晴れてくれたら
どんなにか楽しいだろう。
雨の続く、寒い日に思うこと。

でもきっと
それでは大地は潤わないし、
喉の乾きを満たす術もない。
真夏も真冬も憂鬱だけれども、
四季のない1年を過ごす、
そんな寂しい自分の姿は
とてもじゃないが想像したくない。

楽しいこと、楽しくないこと。
いいといわれること、悪いといわれること。
どんなできごとにも
相反するふたつの事柄や感情が
背中合わせに手をつないで、
生命と思考のバランスを保っている。

あっちに揺れる。引き戻される。
こっちに揺れる。引き戻される。
そうやってふたつの事柄に操られたシーソーは
いつも規則正しく揺れている。

だとしたらそれは
どちらも正しいし
どちらも正しくない。
どちらも同じくらい間違っているし
どちらも同じくらい間違っていない。

変化は
必ず誰にでも、どんなできごとにもあるもので、
だけどその中には
変わらないものが確かにある。
私にだって、ある。

あなたの心の中の
カワルモノ、カワラナイモノ。
どちらの存在も間違いなく
“カワルモノ”。
あなたの心の中の
カワルモノ、カワラナイモノ。
どちらの存在も間違いなく
“カワラナイモノ”。

均衡はやがて崩れ去る。
だとしたら。

その瞬間あなたは何を

“カワルモノ、カワラナイモノ”

として
選びますか?

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TRUE CROOK Vol.14(2004年4月8日発行)より転載。