本心ってのは、自然と滲み出てしまう。
悲しい時の笑顔は、やっぱりどこか悲しそうだ。幸せな時のちょっとした不幸は、ちっとも不幸になんか感じられない。
人はとても逞しい。だけど本心は、どこか優し過ぎて脆くて、バカみたいに嘘がつけない。

ボーカルのてっちゃんは約7年振りにマイクを手に取った。
ギターのちもくんは1年振りのライブを、7年振りにてっちゃんと一緒にやった。
ベースの進也さんがモニターを駆け上がるのを久しぶりに見た。
昔イベントでトップバッターをやってくれた若手バンドのギタリストだった鈴木くんが一緒に演奏している。
人と人の繋がりが今日のこの日に繋がっていた。

それはもう、隠そうとしても隠しきれるものでもなく、
やる気や緊張の合間から楽しくて仕方ない、嬉しくてしょうがないっていうのが滲み出ていた。

そしてそれは、伝わる。
メンバー同士にも、お客さんにも、演奏されている音楽にも。

7年前、私はこんな光景を頭に描いていたんじゃなかろうか。
こうなったらいいのにと悲しい顔でライブを見ていたんじゃなかろうか。

7年経ったことが嘘みたいに、時間は繋がって
時計の空白はたちまち、歌で埋まる。
ああ、必要な時間だったのかもしれないなぁと初めて思う。
時間や葛藤は、きっと本心には勝てないんだ。

彼らに聞きたいことが山ほどある。
何をしていたのか、どんなことがあって、どんなことを考えて過ごしていたのか。
そして今、どんなことを思っているのか。
きっと、たくさんの喜怒哀楽が、この日の歌には詰まっていたのだろうから。




最後に。
ちもくん、呼んでくれて本当にありがとう。なにげなくくれた連絡かもしれないけど、おれにとっては大変な1日になったよ。
それからてっちゃん、戻ってきてくれてありがとう。おかえり。