どんなことでも、初めて、というのはなんだか特別なもの。
初めて覚えた言葉や初めてジェットコースターに乗った時のことや初恋や初失恋や初ディズニーランド、初めて(というより最初で最後だが)テストで100点取った時のことや初めてのアルバイト。いろいろな初めてがあるけれど、初めてという言葉がつくだけでそのできごとははっきりくっきりと輪郭をもつし、記憶はほかのものより強く強く感覚の前面に押し上げられていく。

私が初めてインタビュー取材をしたのは、19歳の時のことだ。音楽のフリーペーパーを立ち上げ、その第1号の取材だった。忘れもしない、渋谷にある“居酒屋かあさん”にて、漬物をみんなでパリポリかじりながら取材をしたのだ。インタビューはその後もいっこうに上手にはならなかったが、とにかく初めての取材は(当然といえば当然だが)それに輪をかけてひどかった。ちょっとはりきったQ&Aぐらいのもんだった。当時、同じ19歳で、既に何十人とお客さんを集めていた彼らを、私は、取材をして見る機会が増えるともっともっと好きになった。
しかしほどなく、彼らは解散してしまう。私は最後の最後まで、なんならバンドがなくなったあとまで、未練たらしく続けるべきだと地団駄を踏んだ。その後も彼らの新しいバンドを取材したりもしたし、一緒にイベントをやったりもした。でも、ボーカルの彼だけは、ライブハウスから姿を消してしまった。彼の歌はとてもとても素敵なので、きっと歌ってほしいとずっとずっと思っていた。
それから何年も過ぎて私自身がライブハウスから姿を消し、彼が歌を歌っているという話を聞くこともなく、そんなことはもはやありえない話だと思っていたのに、久しぶりに顔を出したライブハウスで彼とまたバンドをやるのだという、夢みたいな話をギターの彼から聞かされたのだった。飛び上がったよ。不可能なんかないんじゃないかって一瞬思ったぐらいだ。



いろんな葛藤はあったんだけど、
彼らから連絡もらって、ホームページ見たりしているうちに
ガツーンと胸打たれて(後日書きます)
明日、ライブを見に行くことに決めました。
奇跡みたいな話だけど、でもこれは現実だから
ほっぺたつねるかわりに見に行ってきます。




26歳滑り込みにて、なんとかわずかながら時間を進められたかもしれません。