何キロも先から狙いを定めて
春の大風がおんぼろアパートに一直線。
びょおおおおおお
がたっ! ガタガタン!
ピキピキ
どこかにヒビが入った……気がする。
ああ、そう考えたらなんだかもう寝れないや。

からまりかけた緊張の糸を少しでもほどこうと
そっとドアを開け、
つぶっていた両目のまだ勇気が残っているほう、
おそるおそる右目を開けてみる。

ここはまだ夢の中。
おんぼろアパートのドアの前、
淡く淡く透きとおるピンク色のジュータン。

お隣の小学校からの
淡く儚い春の贈り物。