連続Web小説 「ハードボイルドな朝」第四話 | 登山やらナンやら

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登山ブログのつもりで始めましたが、いつの間にか写真ブログに・・・
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残り2秒・・・
くそっ、タイツが脱げない!
1秒・・・
ダッ、ダメか!
ぬおぉぉぉーーーー!













俺はとっさに「ケツ・・・」
いやもとい、
「Siri」の大殿筋に
ありったけの力を込め
強制的にチワワの脱走を阻止した!











だがしかし、こんなものは
一時しのぎに過ぎない!
一瞬たりとも気の抜けない状況下で
俺は、かろうじて・・・
タイツを下ろすことに成功した。












しかしまだ、大殿筋には力を入れ、
ヤツを封じ込めている状態だ...
不用意に緩めれば、
人間スプリンクラー
と化してしまう!
















いいか、ここでミスったら
今までの苦労が水の泡だ...
慎重かつ迅速に・・・

One...

Two...

Three...

Go!










風の中のすばる~♪
BGMで流れる・・・
映像はスローモーションに切り替わる・・・










砂の中の銀河~♪
鋭い屈伸運動により
地面へ近づいていくSiri・・・
ここでギリギリまで保持していた
大殿筋を一気に解放、、、









(ウィンウィンウィン・・・)
最終セイフティー解除・・・












波動砲発射ーーー!!!
(シュゴォォォオオオーーーー)





















(映画「アルマゲドン」の主題歌)
が流れる・・・










そして数十秒が経過した・・・
よし、今のところすべて予定通り
うまくいっている...
人に見られたら、一巻の終わりだが
大丈夫、ここなら誰も・・・










静寂に包まれた森の中で・・・
俺のSiriから奏でるサウンドと
小鳥のさえずりが
絶妙なハーモニー
を生み出す。










不思議と、小学校で体感したような
罪悪感のようなものはない。
フッ、当然だ...
なぜなら、俺は森の木々たちに
有機肥料を散布してあげているのだから・・・










俺の肥やしを肥やしにして・・・
(↑ そのままじゃねーか)
フォッ、フォッ、フォッ
大きくなれよ~~~









・・・と、俺は
丸大ハンバーグの
CMのセリフを
無意識につぶやいていた...










少しチワワの切れは悪いが
ノープロブレムだ。
あっ、ティッシュがない!
などという初歩的なミスは犯さない。
そんなのは、トーシローのやることだ。










こんなこともあろうかと
ザックには・・・
ポケットティッシュ
が常備されている。











フッ、備えあれば憂いなしだ...
俺は、ニヒルな笑みを浮かべ
アコムの小野真弓
がプリントされたポケットティッシュ
をザックから取り出した。










なっ、何!
手に持った感触が異様に薄い...
俺は、恐る恐るティッシュの
残り枚数を数えた・・・









1枚、2枚、・・・3枚、・・・だと...
こ、こんな枚数で
果たしてこの窮地をやり過ごせるのだろうか?!
さすがの俺もこの枚数での
オペレーションは初めてだ。










よし、いいか、、、
とにかく最初が肝心だ...
チワワに噛み付かれぬよう
細心の注意を払いつつ、、、










1枚目で大部分を・・・
えぐり取るように・・・
打つべしっ!
(いやいや、打っちゃいかん!)





















よしいいぞ、大漁だ!
そして、2枚目で・・・
全てを終わらせるようなつもりで
残ったチワワを拭き取る・・・








・・・
















なっ、なんだと!!
2回目なのに、こんなに!
俺は、予想外のチワワの獰猛さに度肝を抜かれた。
またもや、大漁だ!










敵は、瀕死状態どころか
あたかもその勢力を
拡大しているかのようにも見えた!











い、いいか、落ち着け・・・
あせるな、大丈夫だ・・・
まだ1枚残っている・・・
小野真弓よ、俺に力を・・・











凶暴化したチワワと
死闘を繰り広げ
なんとか最後の1枚で
かろうじて手なづける事に成功した。











フゥー、
なんて危険極まりない
ミッションだったんだ...
俺は自分の偉業を振り返り、、、
深く安堵のため息をついた...











ちょうど木々の隙間から差し込んで来た。
朝日がショーの舞台を
そっと照らした...












俺は、まばゆいばかりに
きらめくチワワに向かって
目を細めながらつぶやいた。
ありがとう、、、と。。。
(↑ どういう心境だよ!)











そして俺は・・・
事件現場に背を向けると
一度も振り返ることなく
何事もなかったかのように
家路を急いだ。










さあ、家には
愛する家族が待っている。。。
俺がこんなことを
してきたとも知らずに・・・











そして、今後
ジョギングに行く時は・・・
必ずポケットティッシュを
2袋持って行こう
と固く固く心に誓ったのであった。






















終わってあげる...