私がアメリカの現地校に行って英語で苦戦したこと、
それは
綴りと音に一貫性がない!
いえ、ある程度のルールもありますが(でも長くなるのでそこはもう省きますね)、それにしてもなんでそういう綴り(または音)になるの?!!という言葉が多くないですか?!
例えば私、渡米してから"season"という言葉を知りました。
ローマ字しか知らなった私は「セアソンじゃなくてシーズンて読むんだ・・・」
(↑私の英語のレベルは本当に低かったんです ( ;∀;))
と思ったのを覚えています。
その後は"reason"を知り、”ea"は [íː]「イー」という音になるものと自分の中で理解した訳です。
でも実際はこれに当てはまらないものも沢山沢山沢山ありました![]()
"read" (readの過去形・過去完了形)なんて現在形とどうやって区別するの?!
と父や兄姉に聞いたら文脈で理解できるようになると言われてできる気がしなかった![]()
(なんせ中学一年生の一学期を終えたばかりの英語力でいきなり現地校に放り込まれてますからね…)
文法が日本語と全然違うことにも衝撃でしたが、とにかく読めなさ過ぎて辛かったです![]()
先日も娘の英語の読み書き練習をしていた時に"come"と"home"を教える機会があったのですが、"c"と"h"が違うだけで後の"ome"の音がどうして違うのでしょう![]()
"come"は[kʌ́m]「カム」であって「コーム」じゃない、
"home"は [hóum]「ホーム」であって「ホム」じゃない。
学生時代に別のヨーロッパ言語を学んだことがありますが、同じアルファベットを使う言語でも読み方が超規則的!!!
綴りと音に一貫性しかない。
だからルールさえ覚えれば知らない単語でも正しく読める。
もちろん日本語だってなんでその読み?という漢字は沢山ありますし、ひらがな・カタカナで書いてもどこにアクセントがいくかは分かるようにはなっていない(雨と飴、箸と橋など)のでブーブー文句を言えないのですが。
で、ちょうどオーストラリアに来た時にパートナービザでの移住者は無料でAMEP(英語の授業)を受講できたので通っていたら、
そこで10分ほどのプレゼンを二つやるという課題があり、テーマはなんでもよかったので私はそのうちの一つに「英単語」を選びました。
もちろん理由は先に述べた通り、綴りと発音のルールに一貫性がない言葉が多くあるから![]()
辞書を引かないと正しい発音が分からない。
なぜこんな状態になったのか知りたかったのです。
ちょうどラップトップの整理をしていたら当時のプレゼン資料が出てきたので内容を書きたいと思います(パワーポイントを使っての発表でしたが肝心のファイルが見つからないので私が話す為に用意した自分用資料から
)。
ちなみに1プレゼン10分と決められていたので調べまくった沢山の資料からかなりそぎ落としてコンパクトにまとめました。なので物足りないと感じる箇所があるかもしれません。
多分そぎ落とさなかったら余裕で1時間はしゃべり続けられたと思います![]()
ここまで書いておいてなんですが今回の記事は育児やオーストラリアは全く出てこないので興味のない方はスルーしてください![]()
ではスタート![]()
※青字箇所は今の私からのコメントです。
(プレゼンのイントロは省きます。既にテーマとそれを選んだ理由を説明済みなので)
1.英語の歴史
"English"という名から想像できる通りEngland発祥の言語。
言語学的には西ゲルマン語に分類される。
同じく西ゲルマン語に分類されるドイツ語やオランダ語(Dutch)と兄弟のような位置づけ。
西ではないゲルマン語に分類されるスウェーデン語、アイスランド語、ノルウェー語、デンマーク語は近い親戚のようなもの。
本来なら英語はドイツ語やオランダ語とかなり似た言語の筈だが、現在では英語だけ遠い遠い親戚のようになってしまった(理由は後ほど)。
英語の歴史は4~5世紀ごろ、西ゲルマン系の部族がイングランドを侵略したことに始まる。
その後、古代スカンジナビアやノルマン人(フランス)の侵略、そして英語ルネッサンス期に入ってきたラテン語やギリシャ語など複数の言語に影響されてきた。
今日では英語の約60%がラテン系の言語から構成されている。
(だから兄弟のような関係だったドイツ語と言語的に異なることが多くなったのですね)
※ラテン語から派生した言語は総称でロマンス語と呼ばれ、フランス語、プロバンス語、イタリア語、スペイン語、カタルーニャ語、ポルトガル語、ルーマニア語などがある。
続いて実際に綴りと音が一致しない・一貫性がない英単語を検証する。
2.サイレントになる文字がある単語
(沢山ありますが、長くなるのでこのプレゼンではあえて4つの例を挙げました)
2-1."gh"や"k"が入る単語
<gh> night, sight, tight, right, through, dough, thought, though, caught
<k> knot, knit, knead, knee, know, knife
(knightなんてどうやったら読めるんだよ!とアメリカにいた当時ツッコミを入れていた記憶があります)
もともと西ゲルマンの言語からきたもので、古代では綴り通りに発音されていたがその後の他の言語の影響で発音しなくなったものの綴りだけはそのまま残ったとされる。
(そして同じように"gh"が入る単語でも"rough""cough""enough"laughは違う音ですよね)
(これで終わり?!という感が否めませんが当時これらのサイレントに関してはこれ以上の情報が見つかりませんでした
)
2-2."b"が入る"doubt" [daut]
これは古代フランスを通してラテン語からきている。
古代フランスから入ってきた当初は"douter"で"b"は綴りに入っていなかった。その後、英語ルネッサンス期に入ると学者たちが「ラテン語では"debium"と綴る」と分かるとそれではと"b"を入れることにした。
この時、発音を変えることはなかった。(←
)
"debt" [dét]や"subtle" [sʌ́tl]なども同様。
2-3."c"が入る"indict" [indáit]
「インディクト」と読みたくなるが「インダイト」。
古代フランス語の"enditer"が入って定着した後に同じ意味のラテン語から"indictare"を借用、綴りを変えたが発音は変えなかった。
ちなみにこのようなケースで全て発音を変えなかったわけではない。
"assult""fault"のように後からラテン語にならって"l"を入れたこれらの単語は"l"も発音されるようになっている。
尚、当時はイングランドで文学が発展しEnglish Renaissanceを迎えており、学者たちは語彙を増やすため積極的に外部から新しい言葉を取り入れていた。
その際に知的に見えるラテン語から多く借用されたのである。
2-4."h"が入る言葉。
"hour" [áuər], "honor" [ɑ́nər], "honest"[ɑ́nəst]など
これはラテン語から派生した言語では常にサイレントなので借用時にこれをそのまま反映した。
しかし、"humble"や"hospital"もラテン系の言語から取り入れたにも関わらずこれらの"h"はなぜかサイレントにならない。
(“herb”なんてアメリカとイギリスでサイレントになったりならなかったりですしね
)
3.単語によって音が異なる母音
英語の母音は単語によって異なる音になる。
先ずは(前に出てきた)"ea"が入る単語。
これらは昔は綴り通りに発音されていた(多分、「エア」という感じ)。
しかし15~17世紀ごろ英語に大母音推移"The Great Vowel Shift"が起こり、母音の発音にとてつもなく大きな変化をもたらした。
14世紀に黒死病の大流行によりヨーロッパの三分の一の人間が死んだとされ、生き残った様々な階級の人間が話す言葉が混ざったことも理由の一つと考えられる。
この際に"ea"が[íː]「イー」と発音されるようになった。
mean, seat, cheap, please, treat, leap, beanなど。
とは言っても全ての単語ではなく、この変化に一貫性はない。
bread, breath, breast, jealous, lead(鉛)は[é]「エ」。
更にはsteak, great, breakなど[éi]「エイ」への変化もある。
(私は当初スティーク、グリート、ブリークじゃないの?と混乱
)
この"ea"の最後に"r"が入る、ear, clear, shear, appear, spear, rear, gear, dear, fear, sear, year, near etcなどは[íər]「イヤー」、
でも同じ並びでもbear, pear, near etcは[έər]、
tearはどちらの音にもなりその音により意味が異なる。
earlyは[US] ə́ːrli|[UK] ə́ːliと、上記のいずれとも異なる発音。
(そしてプレゼンでは省きましたが、なんなら
create は[kriéit]はなぜか[iéi]「イエイ」に、
real [ríːəl]は「イア」、
Seanなんて [ʃɔ́ːn]「ショーン」(人名)だし。
↑このSeanは一番なんで?と思ったものです![]()
しかも一時違いのDeanはアメリカでは [din]「ディン」ではあるもののイギリスでは [diːn]「ディーン」と私が最初に覚えた「イー」の音。)
一貫性がない変化の理由は現在もまだ解明できていない。
同様に"oo"で綴られるものも「オオ」だったのが[u]「ウー」となった。
boot, shoot, root, food, mood, tool, gloomy, bloomなど。
既に気付いているかもしれないが、この変化にも一貫性はない。
hood, cook, took, book, look, shookなども[ú]「ウ」になる単語も沢山あるし、
bloodやfloodに至っては[ʌ́]になる。
(不規則すぎる!!)
"oa"も「オア」だったが[óu]「オー」に変化。
oat, boat, loaf, coatなど。
(でもsoapは[US] soup | [UK] səup、
broadは [US] brɔd | [UK] brɔːdとやはり一貫性がありません)
4.結論
英単語は綴りだけをみて音を自分で判断しないこと。綴りと音に一貫性がないものがたくさんあるから。知らない英単語は必ず辞書を引いて音を確認すること。
~おしまい~
補足しておくと、英語ルネサンス期以降も音は変化し続けました。そして15世紀にドイツ人による発明で印刷技術が発達し、より多くの人に本が普及したそうです。
これにより共通の綴りが市民に普及していきますが、その為に発音に変化があっても綴りは変化せずそのまま固定されてしまったと言われています。
発明がもっと後だったら英単語の綴りと音がもっと近いものになっていたのかも?!
そしてこうして改めて内容をみるとかなりざっくりですね![]()
まあプレゼンの目的は内容の精度の高さよりも英語でみんなの前で話すことだったので仕方ないのですが。
でも結構みんなずっと聴いてくれて、質問タイムでも盛り上がりました![]()
ちなみにこのAMEPというクラスの目的は移住者が英語で日常生活が送れるようになるためのクラスです。
私には正直なところかなり簡単でした
でも夫経由以外で誰か知り合いを作りたかったんです。あまりストレスもなく楽しく通わせてもらいました![]()
英単語についてはまだまだ書きたいことがあるので、またいつかの機会に書きたいと思います。
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ここ数日とても良い天気が続くビクトリア州ですが、少し前までは相変わらず雨だったり晴れたりしていました。
そこでよく見たのが
虹![]()
虹![]()
雲も虹色![]()
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子ども達はたて続けに虹を見て慣れ過ぎたのか、最近は見ても直ぐにまた遊びに戻るようになりました![]()


