【舞台上手から派手な西武ライオンズのユニフォームを着た成瀬あかりと、ツッコミの島崎みゆきが登場】
島崎「どうもー! ゼゼカラです! お願いしまーす!」
成瀬「島崎、わたしは決めた。次は『学習指導要領のバグを突く特務員』として天下を取る」
島崎「また怪しい肩書作ってきたね! 今度は何を調査してきたの?」
成瀬「『幼少期にK社で無双していた子が、中学・高校に入った途端に綺麗に失速していくミステリー』についてだ」
島崎「あー! 確かに『小3で中学数学やってます』みたいなすごい子いたけど、高校入ったら案外フツウになってたりするよね。あれ何でなの?」
成瀬「原因は明確だ。あれは『数学的思考力を伸ばした』のではなく、
『脳内に作業用のショートカットキーを埋め込んだだけ』だからだ」
島崎「ショートカットキー! パソコンのコマンドみたいなこと?」
成瀬「そうだ。K社の学習は『この型の式が来たら、こう手を動かす』という条件反射の訓練だ。
だから『なぜこの公式が成り立つのか?』という一番大事な概念の裏側を、全部スルーして通り過ぎてしまう」
島崎「なるほど……仕組みを理解せずに、ボタンを連打してる状態なんだ」
成瀬「その通り。その結果何が起きるか? 小学校の単純計算や、決まった型を当てはめるだけのテストなら無敵の速さを誇る。
だが、中学受験の算数や高校の二次試験みたいな『初見の条件を整理して自力で式を組み立てる問題』が出た瞬間、
一打手も動かなくなって撃沈するのだ」
島崎「自分で式を作る筋力が育ってないんだ!」
成瀬「さらにたちが悪いのが『知ったかぶりフィルター』の装着だ。K社で先取りしてきた子は、
学校や塾で先生が『この公式の成り立つ本質的な理由はね……』と解説し始めた瞬間、
『あ、その計算ならもうできるし』と脳のスイッチを切ってしまう」
島崎「あーっ! 一番聞かなきゃいけない『概念の説明』を、計算ができるからって聞き逃しちゃうんだ!」
成瀬「そう。こうして『本質を理解するチャンス』を自らドブに捨て続け、
高校の数Ⅲ・Cあたりで完全に積んで深海魚化する。これがK社がもたらす最大の悲劇なのだ」
島崎「うわぁ……恐ろしい罠だね。じゃあ、手を早く動かすことより大事な『本当の計算力』って何なの?」
成瀬「ふっ、いい筋だ島崎。真の計算力とは、闇雲に鉛筆を走らせることではない。
『迫田先生の計算のスペシャルルール』にあるような、式の構造をパッと見抜いて、最も美しくエレガントに解き明かす『構造把握の技法』のことだ」
島崎「へぇー! 迫田先生のスペシャルルール! 反射神経の作業じゃなくて、
式の『構造』をパズルみたいに見抜いて解くアプローチなんだ!」
成瀬「そうだ。分配法則ひとつ取っても、やみくもに展開するのではなく
『式の対称性』や『まとまり』の理由を理解して最短ルートを選ぶ。
ただ手をバタバタ動かす作業と、構造を見抜く数学の思考力は、月とすっぽん……いや、ライオンズと他球団くらい違うのだ!」
島崎「どっちが上か怪しい例え挟むな! でも確かに、ただの作業と『本質の思考』は全く別物なんだね」
成瀬「その通りだ。……ところで島崎」
島崎「ん、なに?」
成瀬「わたしは今から、反射神経だけに頼らない『本質の構造見抜きプリント』を10万枚作成する」
島崎「また10万枚!? だから手書きで刷るのやめなよ!」
成瀬「島崎、お前にはプリントの端をホッチキスで留める作業を命じる。これぞ最高の単純作業だ」
島崎「結局お前も単純作業やらせてんじゃねえか! もういいよ、どうもありがとうございましたー!」

