二階より一階が温度が二.七度低いので、例年通り一階で執務することにして環境を整えた。

 まあ音楽はなくても仕事に差し支えはないが、好きな音楽をいつでも選んで聴けるようにしておく方が多少はいい。ラジオも良い音にこしたことはない。環境は以下の通り。ないのはレコードくらい。

 アンプとラジオチューナーとスピーカーは前の勤め先から(CDプレーヤーが壊れたということで)もらってきたミニコンポ。これにやはり他人からもらったDVDプレーヤーとVHSビデオレコーダー/プレーヤーを赤白ケーブル(一対二の分岐)で接続。

この二つにアナログ端子がある液晶テレビを黄色ケーブルで接続した。DVDとVHSは黄色を抜き差しで切り替える。

 二つのスピーカーは部屋の形状の制約から一.二メートル程度離して、いつも腰掛ける位置に向けるが、ほんの少し外を向けた。

 聴いた感じ、オーディオは部屋が決め手なので、板の間の一階は畳の二階よりも鳴ってくれているようだ。もちろん重低音は物足りないが、良い音過ぎると仕事が手につかないからこんなもんでいい。

 要は廃物利用でいい環境は整えられる。二階のスピーカーも友人の遺品を使っている。

 また、二階と一階にそれぞれVHS機器が使えるようになったので、二階で録音した番組を一階で聴けるようになった。三十年前はそういうことをやっている人はいっぱいいたんだろうけど、今はまあいないだろう。

 一人だけ高校生で、ブルーレイ録画したテレビ番組をVHSに落としてブラウン管テレビで見るという男子がいる。この前ご家族にその後どうしてますかと訊いたら、映像か美術関係に進みたいようだとおっしゃっていた。

 こういうこだわる高校生の話を聞くと、なんだか日本の未来は捨てたもんじゃないなと思ってくる。(了)