ナオユキが熊本でスタンダップをやると発見して行ったのは、もう三、四年くらい前になると思う。

 十人くらいでいっぱいになるジャズ喫茶風のお店。古い商店街からちょっと入ったところ。

 ナオユキはNHKで聴いたとおりの声で、いきなりしゃべり出す。同じセンテンスを二度繰り返して、みっつ目で落とすブルース形式のしゃべり。そうね、大昔の曲「朝起きたら」に通じるラインだな。桑田がやってもあんまり誰も気づかないが、ナオユキはもっとやり放題で面白い。

 今一番好きなコメディアン。

 友人を誘って一昨年行って、去年も別の友人を誘って行った。どのくらいうけたかな、とちょっと気にしてみたが、自分ほどはうけてなさそうなので、今年はまた別の友人を誘って行く事にした。

 自分はつぼに入ってしまうのだが、笑いのつぼは人によって違う。まあ反応は気にしない。

 昨日は飲み会。男3女1、男のひとりが酔っ払って同じ話を繰り返す。また、これで三度目、といいながら、その女も同じ話を三度繰り返す。これナオユキがねたにしそうな実話。

 同窓会の幻想。男が女に行かない?と誘う。女は誰がくるのと聞いてくる。結局数十年前の卒業写真の顔を二人とも思い浮かべて、当日はお互いがわからない。これも実話だし、来年一月もそうだろう。

 同級生の飲み会だと、昔話に花が咲いて、楽しく飲めるのはなんべんかまで。そうすると、別の同級生仲間を加えたくなる。そうやって元々三人だったのが、今六人。今の話をしようぜ、といつ言おうか。

 同級生の飲み会だと、誰と誰が当時これこれで、とかの再現が繰り返される。そんな話はなんべんも聞いているから飽きてきて、新しい登場人物が同じ話をするたびに、えー本当と驚いてみせる。そのうちに、聞いた事も覚えていなくなるので、本当に驚いてしまう。

 こいつとこいつが仲が悪いのは知ってるよ。同級生の飲み会で、そいつらの話に行くんだろうか行かないんだろうかとどきどきしながら聞いている。当時の写真まで見ながら。あー話がそれた。こういうのは一人自分だけ知っていると、結構面白い。

 一月の同窓会の人数予想、90人。(了)