VHSレコーダーがあるからいいと思っていたが、内蔵する時計が、合わせても一週間もすれば遅れが目立つようになった。まだ合わせ直して使用できる範囲だが、最後はそこがだめになって、ただ再生する機械になるんだろう。

 してみると、タイマーを内蔵せず、専用のオーディオタイマーに依存するカセットデッキにそのうちに戻らねばならない。直してもらうにはちょっと掛かるけど、元々はそれがメイン。聞き逃し配信ではもの足りなく思うからしかたがない。

 で、オーディオタイマーを、先日タイマーを内蔵していない電気釜につないで使ったらばっちりだった。当たり前といえば当たり前だが。このたぐいで考えると、もっと範囲が広がりそうだ。

 仏壇の電気のお灯明につなげる。年寄りが消し忘れても、七時になったら消える。

 電気あんか。一時間で切れるようにセット。低温やけどを防げる。

 トイレ便座。冬は寒いからずっとつけっぱなしであるが、夜は消したい。朝は腰掛ける前に暖まっていて欲しい。タイマーがぴったり。

 こたつ。同様。

 こうしてみると、年寄り向きだな。確かに施設に入っている母のラジオにタイマーをつないで、起きている間だけついているようにする手もあるなと思う。

 まあそのうちにAI家電の機能として、誰か聴いている時だけスイッチが入るテレビ、ラジオ、モニター。人がいるときだけ必要な分だけ点く照明。人の出入り時間を考慮したエアコン。なんてのが当たり前になるだろう。

 ただそうなっても玄関の外の灯りだけは、人の手で点けたり消したりしたい。

 それは、灯りを点けるという行為に、人の意志があるから。来訪してくれるお客様に、歓待の気持ちを表せるから。

 帰ってくる家族に、お帰りなさいの気持ちを表せるから。

 遅くなって帰るとき、家に近づくと、灯りが見える。それは決して自動的に点灯する仕掛けじゃなく、妻の気持ち。それだけで、ただそれだけでほっとする。(了)