バンクーバーの病院には、
たくさんのナースがいる。

ほとんどがパートタイムだと言う。
だから毎日ナースが違う。

ルームメイトの年配女性のpennyは、
入院歴が長いらしく、
ナースの名前をたくさん覚えている。

ぼくは毎日ナースの名前が覚えられない。

しかし、今日のナースは、
動きが全く違った。
25歳なのに、常にくるくると動き周り、
患者さんとコンタクトをとる。

ナースはベルで鳴らさない限り、
来てくれることはほとんどない。

しかし、バフィだけは、
手を振りにだけ来てくれたり、
何か手伝うことはありますかと聞いてくれたり、
薬の説明までしてくれる。

例えば、
転送に次ぐ転送のため、
ぼくの両腕には6枚のタグが貼られていた。


バフィは、
「どうして取らないの?集めてるの?」
と聞くので、
「どれを外していいかわからない」
と答えると、
全て外してくれた。


他にも、
ずっとノーパンだったぼくに、
ステテコと新しいTシャツをくれた。
「服を病院から支給してくれるの!」
と驚いた。
もっと前から貸してほしかったのに…。

北米は主張の国。
自分がしたいことや、やって欲しいことを
言わない限りは、基本放置なのだ。
ぼくはシステムもわからないし、
英語だらけだし、
ただただ受け身だった。

それにもかかわらず、
バフィは、あれもこれもしてくれる。
「一週間シャワーに入ってないの?」
「イッチーでしょ?(かゆい)」
「明日、シャワーの予約入れてあげるね」
などなど。

あまりにくるくると動き、
いつもチーキー(ニコニコ顔)なので、
おみつさん(わらぐつの中の神様の主人公)
みたいだなぁと感動した。

息子の嫁に欲しい…と
おじいちゃんみたいな気持ちになった。


アジア顔なので、どこがルーツか聞いたら、
香港に祖父母がいるらしい。


また来週の週末まで、
この病院には来ない…と言うので、

「一緒に写真撮って!」
とお願いしてパシャリ。

仕事が終わる時まで、
ぼくを気にかけてくれて、
本当に良くしてもらった。

ルームメイトのpennyが言うには、
「若いけど、彼女が一番いいナースよ!」
と寝る間際に教えてくれた。

たぶん来週末までは、
ぼくはバンクーバーにはいないだろう。

一期一会の看病で、
最大級のおもてなしをもらい、
「もっと人に優しくなろう」
と誓った。