手術をするかしないかを判定するため、
バンクーバー行きの救急飛行機の順番待ち。
飛行機はいつ出発するかわからないという。
さらに飛行機は、1台で2名までしか搬送
できない。
気象条件もこれに含まれる。
時折、顔を見せに来てくれるドクターがいた。
お婆ちゃんドクターの名はGenis。
彼女はぼくの手を取り、
「あなたは辛いのに、よく我慢してくれてるわね。自分より重症患者を先に届けてあげて欲しいなんて、なかなか言えることじゃないわ。それなのに、私はあなたに昨日も一昨日も、いつバンクーバーに行けるかわからない…しか言えない。本当にごめんなさい…。」
と言う。
もう、涙、涙で感謝の言葉が出てこない。
医者はいい加減なことは言わない。
ぼくはとりあえず、今死に直面してない。
だから後回しにされるのは仕方ない。
彼女のような医者に出会えて幸せだった。
そして、
今日もバンクーバーへは行けなかった。