春休み中の日曜日で人が多い。
みんな幸せそうに見えて仕方がない。
なんで僕の妻は、がんに侵されなあかんねん。
と、僕はつい、そんな風に思ってしまう。
妻と娘は、自分たちの服や好きな雑貨を、楽しそうに見ている。
僕はその間、二人を近くから見たり、少し離れたところから見たりしている。
買うものが決まったら、娘は僕を呼びに来て一緒にレジに行く。
そんなことを2~3回繰り返した。
少し疲れたので、モンブランでケーキを食べて休憩。
その後も買い物の続き。
アスピアを出て、焼肉の店、七輪で早めの夕食。
妻は肉や海老、ビールも飲んで満足の様子。
6時半に娘を自宅に送り、妻と僕は病院への帰路につく。
日曜日の夜は、よく阪神高速が渋滞する。
今夜も須磨から渋滞。
病院へは、8時までに戻ることになっている。
ギリギリセーフで間に合った。
妻は外泊から病院に戻るとき、病院の入口にある、病院名の書いたブルーの看板を見ると、決まって「あーあ」と言う。
楽しかった外泊から病院に戻る時が、一番いやなのだろう。
でも僕はそうでもないのだ。
なぜなら、また病室で妻と一緒に過ごせるからだ。
ナースステーションで、「ただいま」と声をかける。看護師さんたちが一斉に振り向いて、「お帰りなさい。楽しかった?」
なんかいつも、この時は照れてしまう。
病室ではいつものようにシャワーに入り、テレビを見て、ゆっくり過ごす。
先に寝た妻の寝顔を見ながら、いつまで、この、ささやかな幸せが続くのか。
今日もそんなことばかり、考えてしまう僕であった。