台所の砥石のうしろに目撃して以来、
存在感を増してきたなとうすうすは感じていたのでした。

 かび予防に開けておいた押し入れを横切る黒い小さなダスキンのような陰。
 流しの下の収納スペースに飛び散る黒いつぶつぶの糞。

 きのうはメールをしているとかさかさ後ろで音がするのでふりむいたら、
壁にじっとはりついていました。
 どさっと下の紙袋に落ちたと思ったらまたちょろちょろ。
 どんどんずうずうしくなってきてないか?
 子供の絵本に出ているようなやつ、と思えばかわいく思えなくもない小さなねずみ。

 どうにもこの家における私とねずみの立場が逆転しそうな気がしてきて、
大掃除をしました。
 (どんなに昔からいるとしたって、家賃を払っているのは私ですから。)

 布団を干して押し入れの中を掃除機をかける。
 いちばんふわふわしている毛布に大きな毛玉ができ、穴があいていました。
 寝小便の跡まで。
 ここへ来て以来初めての事態です。

 4年目になり、ここは温かいし食べものもあるということに気づかれてしまったのか。
 それともあまりに留守が多くて居着かれてしまったのか。

 本日の大掃除の内容。
 布団干し。
 押し入れと部屋の掃除機がけ。
 土間のすのこを干して模様替え。
 とにかく掃除機をがーがーかけて音を出す。 
 のれんの洗濯。
 雑巾がけ。
 などなど。

 日中窓を開け放ってここまでやると、こんなにも古民家のにおいってちがうものですね。

 そして夜更け。
 やつの気配はまったくないじゃないか。

 食べものと温かさのある生活を続けたからではなく、
留守が多かったのが、彼がきてしまった原因のようです。。。

 風が吹けば桶屋が儲かる 的な。
 ねずみ、それでいいの?
 90すぎのおばあさんの前にペットボトルがあったので、2本分くらいは水分をとるよう話したら、

 「それは何合だ?」

 500ml = 約2.7合。
 おぼえておこう。
 「銅は金と同じって書くんだぞ。みんなよくがんばった。」
というおじいさん。

 「今まででいちばんたくさんメダルとったみたいですね。」
という私に、
 「それだけそんなことやってる場合じゃない国もあるってことだ。」

 自分に厳しく人には寛容に。
 私はまだまだだ。

 そしていつものようにアイスクリームをすすめられる。

「この頃アイスクリーム食べるとお腹がゆるくなるので。。。」
とっさに思いついた最新の言い訳。

「そうかそうか。年とってアイス食べると下痢になるんだな。」
とおじいさんにおばあさんは、足の爪切りに集中する私の後ろで、
「それならチオビタ二本出せ。」
というジェスチャーを繰り返していたらしい。

 まだまだな私にチオビタまで断れる技量があるわけもなく、銅メダルすらまだまだな訪問看護の日々。。。
 仕事のふりして日本の里100選を散歩。

 あやめみたいな花の手入れをしているおばあさんに遭遇する。

 「仏さまにどうぞ。」とお手入れ中の花を切ってくれようとする。
 「うちは仏さまないから。仏さままだ生きてるからね。」
とおくさまが振り返る先のだんなさまは長男ではない。
 「んだ。おれが仏さまだからな。」

 のどかな梅雨の晴れ間。

さんぽ


 いい具合にほろ酔いになると、いろんなことがシンクロする。

 他力本願にクロスワードをする小学生が「苦は何の種~?」と叫んでいたその日の夜更け、その小学生のおかあさんに借りた本で、満州への開拓団としての移民がいちばん多かったのは長野県だったということを知った。

 そして飲み始めたら、
<a href="http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpax200701/img/fb1.3.6.6.gif">この図</a>が頭に浮かんだ。
 
 一人あたり老人医療費最低で在宅死亡率は全国最高の平成19年の長野県。

 在宅で死ぬ理由がすべて幸せなものだとは思わない。
 満州へ移住する理由がすべて不幸なものだとも思わない。

 でも、ほろ酔いにシンクロすると、感慨深い。