2020年5月29日
入院当日。
ショッキングピンクの
大きなスーツケースに
「考えうる必要であろうもの」
をぎっしりと詰め込んで
ゴロゴロとひきながら
公共交通機関で
病院へと向かいました。
諸事情があり、
両親に送ってもらうことを遠慮した
自分を呪ってやりたくなるほど
とてもとても
体力的に
しんどかったのを覚えています。
駅からちょっと歩くのも
この時のわたしにとっては
かなりきつく、
汗だくで
倒れそうになりながら
なんとか病院にたどり着きました。
入院手続きをすませ、
病棟へ。
看護師さんに
連れられて行った部屋は
4人部屋で窓が大きく
外の緑がよく見える
最高に氣もちのいい部屋でした。
しかも
わたしは窓際のベッド。
(やった。理想通り♡)
と思いました。
汗だくで
ヘトヘトになった体を
休ませるために
荷ほどきが途中のまま
ベッドで横にならずには
いられませんでした。
散らかったままで
はぁ〜
と休憩していると
看護師さんが
次から次へと訪れては
用を済ませていきます。
(意外と忙しいな…)
ぼお〜っとしたいのに
なかなかそうはいきませんでした。
そうこうしているうちに
あっという間にお昼になり
昼食が
ベッドに運ばれてきました。
病院食は
味が薄いイメージですが
ここの病院のは
味がしっかりしていて、
わたしには
濃すぎるくらいでした。
色々あったけれど
この日は
静かに一人の世界を満喫し
早めに就寝。
2020年5月30日
人の気配とまぶしい光に照らされて
ふと目が覚める。
わたしは病院のベッドにいて
光は看護師さんの巡回時の
懐中電灯からのものでした。
何事か?と
反射的に起き上がった時に
目があった気がしたけれど
看護師さんは
何事もなかったように
すっと姿を消しました。
枕元のスマホを見ると
朝の3時50分でした。
外はまだ暗く
わたしは
もう一度目を閉じました。
次に目覚めたのは
午前4時30分頃。
さっきから
あまり時間が経っていないのに
もう外は明るくなっていました。
病棟のこの階には
多くの人が入院しています。
わたしのように
術前の人もいて、
術後の人や
抗がん剤治療のために
入院している人もいるようでした。
点滴がかかっているバーを
カラカラとひきながら
移動している人が多いけれど
この時は
苦しそうに嘔吐するような声と
看護師の声以外は
ほんとうに静かでした。
今日が土曜日だから、
ということも
関係あるかもしれない。
土日は看護師さんの数も少ないから
どうぞ協力と理解をよろしくね、
と昨日言われたのを思いだす。
手術が月曜日なので
金曜に入院して
土日はただ待機するのみ。
あさっての手術日を前に
わたしは
不思議なほど落ち着いていて、
胸の内が
静寂に満ちていました。
全身のだるさや
鈍い痛みはあるものの
時々
「なぜここにいるのだろう」
という想いが湧いてくるほど
自分の中では
「手術をする」
ということに
どうも
リアリティがありませんでした。
それでも
パソコンに向かっていると
数分で体がだるくなって
横になりたくなるのも事実。
同じ姿勢を15分もしていると
つらくなるのだから
やっぱり身体の調子は
よくは ないのです。
それでも
こんなに
静寂と歓びに満ちているのは
入院の前日に
ずっとずっとやりたかった唄う会を
オンラインで
シェアさせてもらったことが
大きく関わっているなぁと
感じながら、、
そんな自分の想いを残しておこうと
暇さえあれば
パソコンに向かってかちゃかちゃと
書いている手術前でした。