ジャンと2回目に会ったのは、1回目の翌々日。
私を医者へ連れて行ってくれるためでした。
パリ滞在が10日ほど過ぎた頃、私は右足首に打撲傷を負いました。
朝方、寝ぼけ眼で上半身に反動をつけて起きたところ、
その拍子に足首をベッドのふちで強打したのです。
この足首の打撲なのですが、その後救急病院に行ったり、
予約を取るために仏語で電話したり(!)と、
記録に残しておきたい出来事がいくつかあるため、
別の機会に、あらためて詳しく書こうと思っています。
ここではジャンとのことに話を戻して、続けます。
ケガを負ってから2週間以上経つのに腫れも痛みも引かず、
医者の予約に手こずっていた私を見かねて、
彼は、自分が予約を取って医者に連れて行ってあげると申し出てくれたのでした。
その日は、12:40の予約時間に合わせて、昼休みを犠牲にして付き合ってくれました。
前回と同じくRER駅で待ち合せ、そのまま医者のオフィスに直行しました。
彼は髪を散髪していて、顔のむくみは取れ、肌ツヤもよくて、
体調が戻ったように見受けられ、2日前とは違うスッキリした印象でした。
医師は英語が話せたため、私が一人で行っていたとしても、
医師とのやり取りは可能だったのですが、
オフィスまで連れて行ってくれて、診察に付き添ってくれたことは心強く、
彼の親切は嬉しく、ありがたかったです。
私が薬を買っている間、
彼はアパートまで戻り、私が彼のアパートに置いていた私物をすべて持って来てくれました。
それまでの16回の仏旅行で、毎回彼のアパートに滞在していたため、
ヘアケア、スキンケア製品、海外用くるくるドライヤー、薬など毎回使うものを、
一回一回スーツケースに詰めて持ってくる代わりに、
アパートに置かせてもらっていたのです。
その中にはウォーキングシューズも含まれていて、
そのシューズの方が私の足首のためにはいいだろうと彼は判断し、
アパートまで往復して、シューズを含めた私のモノたちを全部持って来てくれたのでした。
彼との関係がどうなるかわからない状況になってから、
このことは気になっていました。
使いかけのヘアスプレーやらニベアスキンクリームやら、
破棄してもかまわないような私のモノが彼のアパートの棚の一つを占領していることに、
申し訳ない気持ちがありました。
彼の方は、置いたままで別段構わないと言ってくれましたが、
彼は今年、仕事の関係で別の場所に引っ越す可能性もあることから、
この機会に引き取った方がいいだろうと私が判断したのでした。
これで、彼のアパートに私の私物はなくなりました。
ただ、アパートの合鍵は結局返却せずじまいで、まだ手元にあります。
*****
この日は、医者に連れて行ってくれただけで、
すべてが慌ただしく、彼と一緒にいたのはわずか2時間弱。
親密な話は何一つできませんでした。
私の滞在期間はまだ半分残っていたため、
また会えると思っていました。
次回はもっとゆっくりと会って、
美しい場所に一緒に出掛けて、リラックスした時間を過ごし、
二人の今後について本音で話したり、
明確な説明なく関係から立ち去ろうとした(私にはそう見えた)理由を話したりしてもらえると、
私は思っていたのですが。
結果的に、そんな本音の話は何一つできないまま、
旅行は終わってしまいました。
彼の方が躊躇していたこと、
そして私が、2週間予定を早めて帰国してしまったためです。
でも、
これで終わりではないと私は思っています。
続く