今週の火曜に最初のAirbnbをチェックアウトして、次の滞在先に移動しました。
あいにくの雨の中、スーツケース+バッグ+リュックサック+傘での移動はとてつもない苦行でしたが、前日に下見に来ていたおかげで、乗り換えはスムーズでした。
駅からも難なく家まで到着し、重い扉も無事開けることができました。
前日の夕方、ぽっかり時間が空いたので急遽下見に行くことを思いついたのですが、その判断は大正解だったと言えます。
ちょうどホストがいて、挨拶することができました。
髪をポニーテールにした整った歯並びが印象的な男性。
30代後半と推察します。
アラン(仮名)は、フレンドリーで率直で、ゲスト思いの人でした。
彼が良いホストであることは、最初の数分間で分かりました。
掃除の手を中断して部屋を見せてくれて、鍵まで渡してくれました。
本来チェックインは15時なのですが、それより前に部屋に入って構わないと。
もう部屋の掃除は終わってすべて用意ができているからと。
チェックアウトが11時だったため、助かりました。
滞在4日目の今日は、1日中家にいます。
3階建ての石造りのお家で、ゲストルームは3階。
2階は広めの踊り場があり、階段横のドアを開けると広々とした居間が2室あり、
その奥にこれまた広いキッチンが続いています。
バスタブ付きのバスルームは3階。
私の部屋は廊下突き当りの一番奥で、窓から中庭が見渡せます。
最初に入ったときから気に入ったけれど、滞在するほどに好きになっています。
今は私の他にもう一人ゲストが滞在していて、ジェローム(仮名)さんは仏人。
心理社会学の博士号取得に向けた研修(?)のためパリに来ているとのこと。
こちらもフレンドリーでいい人でした。
初日は一緒にキッチンで調理して、互いの料理をシェアして夕食を共にしました。
この家にはゲストしか住んでおらず、ホストのアランは時々掃除とメンテナンスにやって来るだけ。
ホスト、家、部屋、快適さ、スペース、清潔さ、どれをとっても優れてます。
ここを見つけてよかったとしみじみ思います。
家全体は古いのですが、よく整備、メンテナンスされています。
かといってすべてがキッチリ修理、整理されてるのではなく、窓枠の塗装がところどころ剥がれていたり、椅子が古かったり、床がギシギシ音をたてたり、戸棚の中が雑だったりするのですが、それらがまた適度なくつろぎ感を醸し出しているのです。
すべてが塗装され、修繕され、磨かれていたら、それはそれは美しいのでしょうが、何と言いますか「完ぺきではない緩さ」が居心地の良さを感じさせてくれます。
そして、ゴテゴテとやたら物を飾っていないのも、私好み。
それでいて、さりげないセンスが光る。
断捨離の7・5・1法則の1の「見せる収納」みたいな。
バスルームのだら~んと伸びた観葉植物。
さりげなく置かれたガラス瓶にさしたドライフラワー。
アロマキャンドル。
各ゲストルームのインテリアは色が調和していて統一感があります。
私の部屋はホワイトベージュが基調。
窓枠とドアは濁った水色で、色合いがマッチ。
主役は掛け布団カバーのカラシ色。
ここは一人用の部屋ですが、私は途中で二人用の広い部屋に移ります(予約を連続して取れなかったため)。
その部屋は、寒色の基調でした。
床はすべて木。歩くたびにギシギシ音がします。
真夜中にバスルーム行くときは、抜き足差し足で音をたてないようにしてます。
濃い茶色、ニスのツヤが美しい。
素足だと、冷たさと柔らかさが足の裏に心地よい感触。
最初に滞在したアニカの家と比べてしまいます。
何という違い。
雑然として薄暗い居間、狭くて清潔感に欠けるキッチン、大切にもされていない、ただ置かれているだけの埃を被ったオブジェの数々。
私が滞在した部屋はチグハグな家具、ペラペラカーテン、床を隠すのが目的の安物のカーペット・・・
色のコーディネーション、インテリアセンスが「ゼロ」のお家でした。
そんな環境で一か月過ごしたあと、余計にこの家が心地よく感じます。
ホストの意識が違う。
アランはAirbnbのホスト歴がまだ浅いため、こう尋ねました。
私:「これまでに日本人が滞在したことがありますか」
間髪入れずにこの答え。
アラン:「あるよ、サキが泊まって、その後カズキが来た。1週間くらいいたかな。カズキは数日前に日本に帰国したばかりだよ」
私:「じゃあ私は日本人第一号ではなく、3人目なのですね。残念。それでもここに滞在できて嬉しい」
名前を交えてゲストのことを話したアランから、ゲストといい関係が築けていたことがうかがい知れました。
一方、アニカから耳にしたのは、こんな話ばかり↓↓
「ゲストにはフライパンの中身をフォークで混ぜる人がいて、テフロンに傷がついて困ったわ」とか、
「韓国人の女の子がいたけど、自分のことを全然喋らなかったわね」とか、
「シャワーをせっかく新しくしたのに、ゲストのせいでたった5年で壊れのよ」とか、
「フライパンをスポンジのガサガサの面で、ゴシゴシ洗うから加工がすぐに剥げるの」とか、
「ドアを乱暴に閉める人がいてドアが壊れる」とか(もうすでに壊れている)、
「○○人がシャワー室の扉を閉めないから一度水が漏れたことがあって、ここが水びたしになったのよ」とか、
そんな話ばかり。
ゲストに関するいい思い出話や、ポジティブな感想はついぞ聞きませんでしたね。
別のエピソード。
アランに「クロゼットの中にハンガーが一つしかないから、もう数本もらえないか」と頼んだところ、翌日持ってきてくれたのが、木製のシンプルな新品ハンガー3本でした。
その3本が、同じ素材、色、形だったのが、嬉しかった。
たったそれだけの、小さなことなんだけれど。
部屋のクロゼットは白で表に細長い鏡が取り付けられた、スッキリとしたデザインの新しい家具ですが、それにふさわしい、3本の木製、ベージュのシンプルな新品ハンガー。
そしてまた思い出したのが、アニカの家での部屋のクロゼット。
10本以上のハンガーがゴチャゴチャ入っていた。
プラスチック、木、針金、金色のメタル、すべてがバラバラ。
壊れたのもあったし。
統一感ゼロ。
使い古しの、余りものの集まり。
もう一つ、
掛け布団が1枚だけで夜寝るとき寒かったため、「できればあと2枚、毛布と布団を1枚ずつもらえないか」とアランに頼みました。
すると、これまた翌日、すでに部屋にあったカラシ色のカバーに色がマッチしたカラシ色の毛足の長い毛布と、暖かそうな軽い掛け布団とカラシ色のストライプのカバーを持ってきてくれました。
私は嬉しかった。
感激したと言ってもいい。
素敵なカラシ色のカバーに色がピッタリマッチした毛布とカバーをくれたことに、アランのセンスを感じました。
(このことをアランにAirbnbのメッセージで伝えたら(伝えずにはいられなかった)、返事をくれました)
アニカの家で寒くて余分に掛け布団をお願いしたとき、合成繊維の暖色系真っ赤のゴワゴワ毛布と、薄い水色の模様が入ったくたびれたカバーをかけた布団(羽根布団でしたが)を貸してくれました。
色のコーディネートゼロ。
そういう発想はないホストでした。
単に余っているものを貸してくれた。
小さなことなんですがね。
ついつい比べてしまいます。
文句を言ってはいけないですね。
アニカのところは部屋代が安かったので、それ相応のお家だったのです。
でも、今のお家はアニカの家よりは高いくらいで、すごく高いわけではないです。
この家に来てからインスピレーションを感じることが多いです。
と同時に、最初の1か月間の滞在中に美的センスが錆びついてしまって、自分が「美しくないもの」慣れきっていたことも感じたのでした。
私の部屋は中庭に面していて、窓から見える木々や草花の景色に癒されます。
家の入口ドアも中庭側にあって、真っ赤なバラたちがゲストを迎えてくれます。
この季節、バラは満開。
昨日はアランが庭からバラを二輪切ってきてキッチンに飾ってくれました。
そんなAirbnbに滞在しています。
パリに行かなくて、窓の外を眺めながら一日家にいても満たされます。
ここを出るときはさぞかし辛いことでしょう。
ユカリさんに会ったことで、私の次の願いと目標は「仏に1年ビザで長期滞在すること」になりましたが、それが実現した時には、パリでこの家にずっと滞在することを考えています。
あれ~~
今ふと外に目をやったら、アランが草刈りみたいな庭仕事してます。
庭を整備するつもりなのかな?