渡仏してまだ10日経つか経たない頃、個人的な用件で書類に署名して返送しなくてはなない事態が発生しました。
それも緊急を要する。
よりによって休暇でフランスにいるときに。
3年前にコロナ渦で渡仏したとき、日本入国のための陰性証明を印刷するのに苦労した経験がありました。
その時はジャンのところに滞在していたため、彼が勤務する会社に夜閉まる前のギリギリの時間に寄って印刷してくれて事なきを得ましたが。
フランスでは、学生や会社勤務をしていない限り印刷はかなりやっかい。
今回あらためて、それがいかに不便であるかを実感させられました。
コンビニで簡単に印刷できる日本と違い、ここではまず印刷できる店から探さなくてはならない。
首都パリとは言え、そこいら中に印刷できる店があるわけじゃありませんしね。
店をリサーチして、例えばパリのバスティーユの○○通りに見つけたとしてそこを目指していけばいいとは言っても、バスティーユまでわざわざ行くのも大変だし、例えバスティーユまで行ったとしても、そこから○○通りの店を見つけるのはさらに大変。
最初に印刷する必要があることを知ったとき、印刷のサービスをしている店が近くにあるかどうかをホストに尋ねました。
すると、プリンターなら家にあるというではありませんか。
小さな家に一人暮らしをし、Airbnbで生計を立てている70代のホストがプリンターを所有しているとは予想していませんでした。
なんて幸運なんだと思いました。
でもそれは結局ぬか喜びに終わったのですけれど。
USBにデータを入れてホストに渡すと、やり方がわからないので操作してと言う。
USBを彼女のPCに差し込みワードファイルを開くと、とんでもなく古いバージョン。
ファイル⇒印刷の手順はユニバーサルだと思い、それらしいメニューをクリックするも印刷画面など現れない。
仏語のメニューが私には読めなかったため、適当にメニューをクリックしても見つからない。
とにかくバージョンが古すぎて、メニューがどうなってるのかもわからない。
ホストは印刷方法どころかワードすら使ったことがなく、いやそれどころか存在すら知らなくて、もう話になりません。
もう一人の滞在者であるユカリさんを屋根裏部屋から呼んで助けを求めるも、彼女も仏では使ったことがないと言います。
パリに住む友人(仏人)に電話したけれど電話にでない。
出たとしても、とんでもなく古いバージョンだったため電話ではどうせ解決できなかったでしょう。
詮索好きのホストが私が印刷しようとしている内容(英語)を読もうとじっと画面を見ているのもこの上なく不快。
結局ホストのプリンター借りるのはやめました。
ネットでリサーチすると「フランスで印刷する方法」に関するnote、ブログ、ウェブサイトがザクザク出てくるじゃありませんか。
これは多くの人々にとっての困りごとだったのですね。
家から徒歩で行ける範囲に一軒、となり街の文具店に一軒、印刷サービスをしている店を見つけ、翌日いの一番で行くことにし、その晩は眠りにつきました。
翌日は雨。
冷たい雨の中、オフラインマップを頼りにようやくたどり着いた店(というか印刷所?みたいな工場)では「印刷はしていない」と断わられたため、その足で駅に行き電車で隣の街に行きました。
隣の街は大きくて素敵な街。
実はここはジャンが住んでいる街で、私にとって馴染みがあり中心部については熟知している。
オフラインマップを見ながら店まで行くと、以前ジャンと一緒に行ったことのある文具店だった。
小さなお店を店主が一人で切り盛りしている。
私:「ボンジュール、ムッシュー。ドキュメントを印刷したい。できますか?」
店主:「できるよ」
心からほっとしました。
ここがアウトだったらパリまで行かないといけないところだった。
しかし、そのやり方にはびっくりさせられた。
まず、お客が店主にUSBを渡す。
店主はUSBを自分のPCに差し込みファイルを確認する。
お客が印刷して欲しいファイル名を伝える。
店主はファイルを開く。
お客は印刷して欲しい枚数を伝える。
店主が操作して印刷する。
店主は店の奥にあるプリンターまで狭い店の中を取りに行き、再びレジに戻ってきてお客に渡す。
手元の紙に、印刷またはコピーした枚数、スキャンした枚数をメモしていいて((25X3、25X4など)、合計を計算して料金を伝える。
お客は言われた料金を支払う。
これが一部始終。
その間、別のお客が来て商品を買ったり問い合わせしたりしたいけれど、店主は対応できないため、彼らは対応が終わるのをじっと待っている。
なんという効率の悪さ。
日本だとコンビニに入ったらお客はさっさと機械に行って自分で操作して印刷しますよね。
しかも印刷代が高い。
印刷およびコピーは一枚25サンチーム。
スキャンは一枚20サンチーム。
4枚の印刷またはコピーしたら、1€つまり約167円。
日本だと10円X4で40円だから、日本の約4倍。
この後も、印刷が必要な事態が数回発生し、そのたびにこの文具店を利用。
滞在している宿泊先からRER駅まで徒歩13分、そこから隣町まで電車5分、駅から文具店まで徒歩10分、1枚25サンチームで印刷してもらい駅まで戻ってまた電車に乗って駅から歩いて帰宅。
どんなに急いでも1時間弱はかかる。
記入を間違えたときのために、余分の枚数を印刷する必要もあり、毎回1、2、3€の出費でした。
2€でも300円以上、3€だと500円近くになるため、小さい金額ではありません。
以上、仏でドキュメントをコピー、印刷する話でした。