何も書くことが思いつかないので、食べ物について書いてみようかと思います。
私は好き嫌いが多いタイプです。餡子系は全く受け付けず、和菓子を貰うと顔に出てしまうくらい困ります。
抹茶系も不可なので、修学旅行の京都では血眼になってチョコ系のお菓子を探しました。
でもこれらも、無理をすれば一口二口は食べられるのです。
それ以上に「美味しくない」物を食べたことがあります。
小学校四年生の夏、その日は夏祭があったので、精神年齢六歳ぐらいの私は昨晩から浮足立っていました。
意味もなく小遣いを数え、意味もなく庭のバッタを掴んでは逃がしを繰り返すほどには浮かれていました。
スーパーがつぶれる程度には田舎だったので、この日は小学生がはしゃぎ狂う日だったのです。
私が私の異変に気が付いたのは、午後五時を過ぎた頃でした。
家族四人で行くのが通例だったので、まだ言葉も怪しい弟が昼寝から覚めたら出発ということになり、
暇そうに待機しているときでした。
お腹が空かない。
当時体は九歳。寝ていてもお腹が空くような年頃です。
夏祭り中にたらふく食ってやるぐらいの意気込みだったので、朝も昼も普通にしか食べてないはず。
そのうち、空腹感というよりは「食べたくない」心境であると気が付きました。
この時点で、何かがおかしい、とは気が付いていました。
少しだけ、バックグラウンドを書かせていただくと、
こういう時に「具合が悪い」とか「お腹空いてない」とかいうと、父親の機嫌が悪くなります。
そうすると、やがて母親も機嫌を悪くし、やがてつかみ合いの喧嘩になります。
結果的に私も怒られるので、血でも吐かない限りそんなことは言えなかったのです。
そうこうするうちに、弟が目を覚ましました。
試しに撫でたりさすったりしましたが、パッチリ目を覚まされてしまった上に、遠くに聞こえる祭囃子の音に弟のテンションも振り切れます。
軽い絶望感を持ちながら、出発しました。
屋台を見ても、全く楽しくなかったのを覚えてます。
さすがに様子を感じ取った父が、明らかに機嫌を悪くしながらメロンを串刺したやつ(名前知らないやつ)を渡してきたので、作り笑いと子供っぽい声を出しながら口に入れます。普段なら二本目を要求するほどの好物です。
美味しくない。
なんなら吐き出したい。てか喉から先に行ってくれない。
喉ふさがってんのかと疑ったレベル。
やっとの思いで食べきり、近くのごみ箱に捨てます。歩いているうちにラーメン屋さんにつきました。
キッズメニューでもいいかと聞くと今度は母までも不機嫌を露わにします。
震えながら普通サイズの味噌ラーメンを頼みました。いつもなら食後のデザートも余裕の量です。
やはり美味しくない。
もはや味がしない。ゴムを口に入れているみたいだ。
三口目で、これ以上は戻しかねないと思い、「ごめんなさい、お腹いっぱい」と言いました。
この時は母が場をとりなし残った分も食べてくれましたが、父の口からは罵詈雑言が聞こえます。
家に着くと、やはり両親がモンハンのゲリョスよろしく怒り狂いました。毒を吐いて走ります。
道中すれ違った知人への挨拶が小さかったことも、二人の機嫌を損ねたようです。
スンスン泣きながらお風呂に入ると、力が抜けたように眠くなります。というか、そのまま数分寝てしまったので、
こいつはただ事じゃないと、お風呂から出た後にこっそり熱を測りました。
38.2℃
風邪かよ。
翌朝、寝起きに測っても同じだったので、さすがに母親に見せました。
「昨日のアレはコレのせいだから!!!」みたいな気持ちがあったのは言うまでもありません。
手のひらを返したように父は優しくなり、母も、口調は怒りながら私を病院に連れて行きました。
お医者様に喉を見せたら、「ああー」と言われました。
ヘルパンギーナ、という喉にブツブツが出来る病気でした。喉がふさがる、はあながち間違いではなかったようです。
小さい子によくかかるそうです。
当時九歳だったし、弟が運んできた可能性も考えると、さもありなん、という感じでしょう。
夏祭りの出来事は、要は「食欲不振」だっただけでした。
しかし完治後にも、外食を受け付けなくなりました。
どういうわけか、家と給食以外の食事となったとたん、また喉がふさがってしまうのです。
それ以降は、休日との闘いでした。
平日で夜に外食に行くことはあまりなかったので、
カレンダーを眺めて、今月の休日が多い少ないで一喜一憂していました。
いうまでもなく、その時の私の敵は八月でした。
外食の予定が変更になり、家でとなった時は自然と飛び上がったことがあります。
表情は緊張感を持ったまま両手を上げて喜ぶ小学生。なかなか見ることないかと思います。
その後の人生、人並みに嬉しいこともありましたが、飛び上がったことはアレっきりです。
一度、母親にそれとなく伝えましたがその後数回にわたって両親に怒られたので、
本当に困っていることは親に相談すまいと決めました。
なので、何かしら病名が付きそうですが、今も病名はわからないままです。
その後、様々な対策をして二年後に克服しました。
一番効果的だったのは、入店後、自分と同じ年かそれ以下の子を探し、
「あの子も頑張って食べているんだから!」と思う事でした。
まさかウルトラマン片手にそばをすする子も、遠くで女子小学生に「頑張って食べてる」と思われていたとは想像しないでしょう。
注文するものはいつも、スープに入っている物(麺系)でした。濁ったスープ物であれば残っても隠せます。ご参考までに。
冗長になってしまいましたが、
この世で一番美味しくないものは、緊張しながら食べるものです。
好物であろうと、爽やかイケメンのオリーブ料理であろうと、緊張感の前には無力です。