昨日、恩師メナヘム・プレスラー先生が神様のもとに帰られました。
99歳でした。
ニューヨーク・タイムズの記事がこちらからご覧になれます。
先生の略歴はこちら
先生が53年間活動を続けてきたピアノ・トリオについてはこちら…
2017年のサントリーホールでの演奏会はこちら…
私と先生の出会いは、留学直後のロサンゼルスでのボザール・トリオの演奏会でした。
先生の最初の一音を聞いた時に、稲妻に打たれたような衝撃が走り、「この人が私が求めていたピアニストだ!この人に習いたい!」と思ったのです。
その2年後にインディアナ大学に行き、1年間空きを待った後に先生の門下に入れて頂きました。
先生のレッスンは毎回とても厳しいものでした。
が、コメントはどれも深くうなずく、納得の言葉ばかり。
先生が弾いて下さる時は、この上もない贅沢な瞬間!
いつまでも聞いていたい!と思いました。
卒業後も、私が勤めたバイオラ大学に毎年来てくださり、マスタークラスと演奏会をして下さいました。
大変光栄なことに、私もシューベルトのファンタジー(連弾)とモーツァルトのピアノ2台のためのソナタを共演させて頂きました。
また数えきれないくらい、演奏会での譜めくりをさせて頂きました。
その第一回は、ニューヨークのリンカーン・センターでの「モーストリー・モーツァルト」という音楽祭でのボザール・トリオの演奏会でした。(あの時の緊張は今でも思い出します!!)
先生がチェリストのアントニオ・メネセスと日本に来られた時、日本の室内楽奏者と共演された時などには、かばん持ちと譜めくりなどもさせて頂き、各地を回りました。
サントリーホールでの室内楽演奏会でも譜めくりさせて頂きました。
リハーサルの時から譜めくりをしながら先生の演奏を聴けて勉強できるという贅沢!!
先生の演奏はいつでも、先生のその時の持ち味の、最も美しい状態を表現されていました。
また、ご自分に厳しく、楽譜に忠実に従われ、「ピアニストは音楽伝道師」つまり「作曲家の意図を最大限に伝える人」だと言われていました。
その結果として、先生が弾いているのではなく、まるで作曲家自身が弾いているように聞こえました。
その様な先生に教えて頂き、演奏活動を間近に見させて頂き、私は本当に恵まれています。
この様なお付き合いをさせて頂き、どんなに感謝してもしきれません。
長年に渡る音楽界への多大なる貢献、また指導者として私達に高い目標を示し続けて下さり、ありがとうございました。
どうぞゆっくりと休んで下さい。
(プレスラー先生より写真転載許可を頂いています)