最近話題になっている
『「人に迷惑をかけるな」
と言ってはいけない』
という本をみました。
著者は坪田信貴さん。
坪田さんは、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話、『ビリギャル』の著者で、「坪田塾」という、「個別指導塾を超える「子」別指導の学習塾」の経営者でもあります。
「子供が自立した大人となり、豊かな生活を営むには、どうしたら良いか?」ということを考えさせる本でした。
中心となるお話しは、次のようなことだと思いました。
- 世界の急速なAI化、グローバル化に対応した子育てが必要になってきている。
- 自分を「表現する」、自ら「選ぶ力」「決める力」、自分の可能性を「信じる力」を育てる必要がある。
- そのために、今まで言ってしまいがちだった子供への言葉を変えていきましょう。
- 迷惑をかけても良い、「恩送り」をしよう。
- ティーチングではなくてコーチング
あっという間に読めました。
小さいお子さんを持っている親御さんだけでなく、指導者、しかもお子さんを教えている指導者だけでなく、私のように海外で大学生を教えている指導者でも学ぶことがたくさんあると思いました。
またピアノ指導者としては、この様な力を育てるのに、ピアノは向いているではないかと思いました。
なぜかと言いますと
1.ピアノで習う曲は西洋音楽なので、西洋的な感覚が養え、視野を広く持つ一助になるのではないでしょうか。
- 西洋の国々や人々について知る機会になる。
- 西洋音楽は理論的な理解が必要で、
- 理解したことを土台に、自分の気持ちを「表現する」ための「選択肢」を導き出し、
- その選択肢から自分の表現を「決定する力」を養える。
2.ピアノの演奏は「信じる力」と「プレゼン力」を養う助けになるかもしれません。
- 指導者の助けや練習によって自信を積み上げ、自分を「信じる力」を養える。
- 信じたことを演奏によって人々に伝える、という「プレゼン能力」を養える。
3.ピアノの先生から生徒へ、生徒から次の人へと「恩送り」ができるでしょう。
- 私がアメリカで初めてお世話になったピアノの先生は、ピアノのレッスンだけでなく、私の留学生活も助けて下さいました。それについて、「先生にはどうお返しして良いか分かりません。」と言った時、先生が「私は何もいらないので、あなたの生徒に同じようにしてあげなさい。」と言って下さいました。今では私もそれを言うようになっています。
4.ピアノ・レッスンは「ティーチング」でもあり「コーチング」
- クラシック音楽の曲は殆どが伝統芸術なので、まずは伝統を教え、そこから、各個人が個性を踏まえて演奏していけるように助ける「コーチング」に移行し、最終的な「自立」を促せる可能性があります。
以上のように考えると、ピアノのレッスンは音楽のすばらしさを伝えられるだけでなく、人としての健全な成長も助けられる、様々な可能性を秘めているように思います。
河村まなみ