去る7月、【育脳ピアノ♪レッスンの教科書】セミナーをするにあたって、ある研究者の論文を皆さんに紹介したかったのですが、どこまで翻訳して良いのか分からなかったので、許可を頂くために、ご本人にメールさせて頂きました。すると「いくらでも訳して、日本の皆さんに紹介して下さい!」とすぐにお返事を頂きました。
今日は、その先生の最新インタビューをご紹介したいと思います。
USC(南カリフォルニア大学)Brain & Creativity Institute (脳と創造性研究所)のハビビ先生は、音楽の訓練が子供達の脳、性格、学業にどの様な影響を及ぼすか、研究しています。
75人の、それまで音楽のレッスンを受けた事のない6〜7歳児に、ユース・オーケストラに所属してもらい、追跡調査をしています。
子供達は、バイオリンなどの楽器を支給され、オーケストラの練習や演奏に参加します。
調査3年目の経過報告をこちらの論文で読む事ができます。
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https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1878929315301122
(被験者のバックグラウンド、実験方法、結果等の詳細は【育脳ピアノ♪レッスンの教科書】セミナーで解説しました。論文を読むと、この研究の高い価値がより理解でき、感動さえします。)
追跡調査は今年で7年目になり、先生のインタビューがYoutubeに掲載されました。
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ハビビ先生がこのインタビューで強調している事は、注目に値すると思いますので、紹介したいと思います。
「音楽の訓練は芸術に関わる喜びを経験させてくれるけど、研究の結果、脳が、音楽の訓練を受けてない児童とは違う発達をし、音楽には関係のない副産物、教育的、日常生活に関わる恩恵もあるらしい事が、分かってきています。」というのです。
例えば・・・
聴覚機能の発達に伴って、以下の様な能力の発達が、音楽の訓練を受けた事のない児童より早い傾向がある。
- 言語能力
- コミュニケーション能力
実行機能(脳の前頭葉の働き)が優れている傾向にある。特に…
- 忍耐力(ハビビ先生は専門用語 "delayed gratification"(満足遅延耐性)という言葉を使っています。「将来の、より大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」だそうです。)
- 判断力
- 計画力
- 思いやり(先生は「協調性、共感性」などの言葉で表現されています。)
家族へのアンケートによると…
- 怒りにくい
- 衝動的になりにくい
- 優しい
ハビビ先生は原因として「日々の個人練習、合同練習」などを挙げています。
更なる研究報告が楽しみですね!
多くのお子さんが、音楽の楽しみ、喜びと、この様な副産物を経験できますように。