ピアノは「道」か「学問」か?
先日の保科陽子先生とのYoutubue対談の最中に思いついた事です。
日本は、書道や華道のように《ピアノ=道》。ピアノを弾くテクニックと精神を学ぶ。
アメリカは、音楽をリベラル・アーツの必須科目の一つとして勉強してきた伝統の影響で《ピアノ=学問》。音楽の構造を理解し、ピアノを用いてその理解を表現する。
そう考えると色々な日米の違いがしっくりくる気がします。
レッスン用の教具は
玉紐、ビーズ・カウンター、スクイーズ 、お手玉など、日本の先生方のアイデア満載の教具、素晴らしいですね!私の、Piano Pedagogy(ピアノ教育法)のクラスで紹介しようと思っています。
アメリカもいろいろありますが、ピアノを弾くための教具より、音楽理論を教える教材やゲームが多いようです。
音楽理論、イヤートレーニング用のオンライン・ゲームはたくさんあります。下のリンクをクリックすると、その一覧が見られます。
The Ultimate List of Online Music Education Games
子供達のグレード試験は
日本では、全国的なグレード試験がないようですが、例えばピティナ・ステップのような機会では曲を弾く事が中心のようですね。
アメリカでは曲も弾きますが、
- 音楽理論の筆記(まだ書けない小さい生徒さんは、先生に答えを言えばOK!)
- 音楽史の筆記
- 和声判別
- 初見試奏(メロディー、ベースライン、リズム、和声進行のパターンなどを分析することによって初見を簡単にするというアプローチ)
- スケール、アルペジオ、カデンツの演奏などがあります。
大学では
アメリカではレッスンで、曲の形式、和声構造、調性の分析、譜面上の一つ一つの記号の解釈、などに話が及ぶ場合が多いです。音楽理論で習った事をレッスンに反映する、感情を表現するにしてもその理由を言葉で説明できるようにする、その理解を表現できるようにする、という傾向が強いかもしれません。
日本より指の動きが遅い学生が多い傾向を感じますが、知識が多く、知的アプローチが好きかもしれません。
日本はどうですか?
ちなみに
イギリスの有名なABRSM(英国王立音楽検定)といいうグレード試験は、音楽理論の筆記試験はありませんが、8級になると
- カデンツの判別(完全終始、偽終始などですが、パッと聞いただけでは分からないものもあります。)
- 転調の判別
- 複雑なスケール(3度、6度、逆行、全音階、半音階など)
- アルペジオ(展開形など)
- 聴音
- 初見
- 曲想に関して自分の解釈を話す面接試験
- ポリフォニーの1声部を聞きながらもう1声部を歌う、という試験まであります。
東南アジアではこの試験が浸透していて、最近では、大変優秀な生徒さんが多数育っています。
それぞれの教育方法に良さがあると思います。広く知って、レッスンに役立てていきたいと思います。
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