私は日本で音大を卒業しましたが、その時は、アメリカに留学するとは思っていもいませんでした。
それが不思議な方法で、現在仕事をしているバイオラ大学の先生に巡り合い、
留学を考え始め、
それから慌てて英語を勉強したので、英会話の先生に心配されるレベルで・・・
そのまま留学し、英語力不足な上に、文化やマナーを知らなかったことで、たくさん失敗してしまいました。
今日はそのうちの、思い出に残るものを書いてみたいと思います。
演奏を褒められたら「ありがとう」と言います。
「いえ、とんでもありません」と言うのは、せっかく下さった言葉のプレゼントを否定する事になるので、心では「そんな事ない」と思っていても「ありがとう」です。
でも実際、言うの、難しかったです。思わず「No...」と言ってしまって、否定されたと思わせ、相手の顔を曇らせてしまったことがありました。
私の演奏を聞けなかった人に後から「どうだった?」と聞かれたら「良く弾けました」と言います。
私は始めのうち「まあまあ」という意味の "so-so" という言葉を使ってしまい、そうすると「えええ〜!何があったの〜???」と言われてしまいました。
"So-so" はアメリカではとてもネガティブな言葉なようです。実際、演奏後に "so-so" という表現は聞いたことがありません。その代わり、"It went well." とか "It went great!" などと言います。
始めは嘘をついている気がしたのですが、良く考えれば、できなかった部分もあるけど、できた部分もある。どちらに焦点を当てるかなのかな?できた事を認めるという気持ちも大切かな?と思うようになりました。また、先生や応援して下さった人達への感謝を表現する言葉だという事も分かってきました。
"How are you?" と聞かれたら、元気じゃなくても「元気です」と言います。
親しい人には「でも実はね・・・」と言えますが。
これも結構忘れてしまい、挨拶として聞いてきただけの人に「疲れていて」なんて言ってしまい、ええ?という顔をされたことがありました。
丁寧語はあります。
アメリカは自由と平等の国!誰とでも同じ言葉で話して良いのだ!と思っていた私は、多くの先生方に失礼な言葉使いをしていたと、今では思い出すだけで恐ろしくなり、冷や汗です。
フル・センテンスで長く言う、"Can you" の代わりに "Would you mind" などの言い回しを使う、などが丁寧語になります。
また感謝の気持ちを伝えるのも、とても大事です。世界的に有名な先生方も、感謝を伝えるという事にはとても気を使っておられて、私も見習わせてもらっています。
このようなことができないと、学生としては許されても、社会人として(少なくともクラシック音楽の世界では)成果を上げていくのは難しくなると思います。
実際、学生のうちからこのような言葉が使える人達は、人間関係を上手に築き、卒業後も成功していっています。
ジョークが分からない時は…
国によってジョークの感覚は違うようです。冗談が好きな先生のクラスを取っていた時、時々、何が面白いのかわからずに無表情でいたら、ある時先生が目の前に来て、「まなみ、みんなが笑っている時には一緒に笑ってくれる?」と言われてしまいました・・・これもマナーのうち・・・
褒め言葉が必要です。
アメリカ人は褒め言葉のボキャブラリーがとても多いです。マナーとしても、心からも、ほめて育てる、ほめて付き合う、というような文化だと思います。
「グッド!」くらいじゃ足りません。「パーフェクト!」くらいはしょっちゅう使います。(もちろん100%じゃなくてもです。)
また、なるべく具体的でなければなりません。何を具体的に褒めるかを見極めるためには、良く観察しなければいけない、と思います。
たくさん失敗しながらもここまでどうにかやって来れたのは、沢山の方達が大目に見て下さったからです。感謝してもしきれません。
こんな失敗談でも、これから留学したい人達のお役に立てれば嬉しいです。