2020MTNA(Music Teachers National Association)全米コンファレンスにて、インディアナ大学ピアノ科教授、David Carledge と Gregory Sioles が、オーディションについて、目的、選曲、その他の注意点などを対談形式でシェアされたものを日本語に訳しました。

 

オーディションの成功と奨学金獲得のために参考にして下さい。

 

 

 

🎶🎶『教授達が語る実技対策【平均律、古典派の選曲】』の続き 🎶🎶

 

 

C: ではロマン派に行きましょう。

 

シューベルトについてはどうですか?

 

S: いくつかの曲はオーディションに向いているかもしれませんが、気をつけて選ぶ必要があると思います。

 

 

C: ショパンはどうですか?オーディションに向く曲、向かない曲は?

 

S: 「子守唄」は向かないでしょうね。それから、2番と4番の「バラード」は気をつけないといけませんね。

 

C: 「バラード4番」はほぼ変奏曲で、美しいメロディー、声部のバランス、ペダルの操作などを見せられますが、同じ調子でほぼ4分くらい経過してしまいます。それで、やっと盛り上がる頃には審査員達は次の曲に行きたくなっていますよね。

 

もし2分くらい聞いて素晴らしい演奏だったらコーダがどうか聞いてみたくなるので、そちらに飛んでもらいますね。ですから、突然コーダから弾く練習をしておいた方が良いですね。

 

「バラード2番」も同じ問題を抱えていますね。途中まで聞いたら、コーダに飛んでもらう可能性があります。私は弾きたくないかな(笑)

 

「舟唄」はいかがですか?

 

S: もし表現力と説得力があれば素晴らしい曲ですが、気をつけないと。

 

C: 始めの2つの音だけでその人の音楽性が見えますね。

 

S: 「スケルツォ」はどうですか?

 

C: 「スケルツォ」はどれも良いと思います。繰り返しが多い場合は飛んでもらう事もありますね。

 

「ポロネーズ」は?

 

S: 嬰へ短調などはオーディションに向きますね。

 

C: 「幻想ポロネーズ」のように長いイントロがある曲は?

 

S: 最初を少し聞いたら途中に飛んでもらうでしょうね。

 

C: 「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」もそうですね。

 

「幻想曲」や「ソナタ」はいかがですか?

 

S: 良いと思いますよ。

 

C: 「ソナタ」を持ってくるなら全楽章ですね。でも「ソナタ1番」は高校生は避けた方が良いでしょうね。

 

「24の前奏曲」はどうですか?

 

S: いくつかの曲をグループにするなら良いと思います。10分くらいの括りでバラエティがあると良いですね。

 

C: そうですね。途中で止めて、中間を飛ばして、後の方の曲を弾いてもらう事もありますね。

 

「ワルツ」はあまり良い選択肢ではないと思いますが、どうですか?曲中に音楽的、テクニック的なバラエティが十分ないですよね。

 

「ノクターン」はどうですか?

 

S: ハ短調のノクターンはオーディションに良いと思います。他のノクターンだったら対照的な別の曲と組み合わせるとか?

 

 

C: シューマンは?「アベッグ変奏曲」「パピヨン」はどうですか?

 

S: とても良いと思いますね。

 

C: 様々な側面を短時間で見せられますからね。それにオープニングが落ち着いて始められるので、オーディションを始める曲としては良いと思います。

 

リスクの高いシューマンはありますか?

 

S: 「子供の情景」ですね。音楽的な深みが必要です。

 

「幻想小曲集」はどうですか?

 

C: 時々聞かれるのですが、いくつか組み合わせるのが良いでしょうね。

 

S: 他に避ける曲は?

 

 

C: メンデルスゾーンの「ロンド・カプリチオーソ」は大学受験に弾かれ過ぎました。

 

他のメンデルスゾーンは?

 

S: 「幻想曲」「厳格なる変奏曲」「プレリュードとフーガ」などは良いですね。

 

C: ホ短調の「プレリュードとフーガ」などは良いですね。「厳格なる変奏曲」は、大学受験にはとても良い曲ですね。

 

S: それぞれの変奏曲の性格を表現しつつ、前後とのつながりを作る力などを見せられますね。

 

 

C: リストはどうですか?

 

S: 選曲に気をつけなければいけませんね。例えば「ため息」。

 

C: 「ため息」は問題ですね。聞かせどころは後半ですから、そこまで行くのに結構時間がかかる。途中からクライマックスに飛ばすのも難しい曲なので、結局かなりの時間を使ってしまう。

 

「ハンガリアン・ラプソディー」はどうですか?最近高校生達が弾くことが増えていますが…

 

S: 自分の実力に見合っているか判断する必要がありますね。また早いセクションに飛ばされる事を想定した方が良いでしょうね。

 

「超絶技巧練習曲」「演奏会用練習曲」はどうですか?

 

C: もちろん自分がこなせる曲を選ぶのが大前提です。ヘ短調の「超絶技巧練習曲」がとても人気ですね。でも「練習曲」に関しては、無理をして手を故障して欲しくないです。

 

 

ブラームスは?

 

S: 「作品5のソナタ」は壮大なソナタです。大学院入試に向いてますね。ちょっと高校生には難しいですね。

 

他の小品を集めて弾くよりは別の選択肢を考えた方が良いかもしれませんね。私はブラームスはもちろん大好きですが、大学受験オーディションに向くかということですね。

 

C: では近、現代の作品にいきましょう。

 

 

🎶🎶 続きは『教授達が語る実技対策【近、現代の選曲】』をご覧下さい 🎶🎶

 

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