二十歳のころ 

あの頃 思うたび 涙が出るんだよ

君とぼく 二十歳のころ 帰らない昔

 

毎日絵を描いた モデルは君ひとり

肩や腰 胸の線を 描いては消して

 

たまには口づけなど交わして ふざけ合い

そのまま愛し合って 日暮れになったね
 

ショパンを聴きながら 夜には詩を読んだ

ベルレーヌやボーボアール 覚えているかい?

 

ときには 意地悪した あなたの指先

そのまま 燃えながら 夜空に消えた

 

夜明けを待ちながら 散らした花びらに

白い朝 映ってたの 覚えているわ

 

あのころ 思うたび ... あのころ 思うたび ...

作詞:安井かずみ&なかにし礼 

作曲・歌 かまやつひろし

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッシュかまやつ

Keep on Running~愉快にやろうぜ!

“シ・ク・ヨ・ロ”アンソロジー』#23
 

 




2008年11月放送より
「そんなつもりで書いたわけではないんだけれど、僕の曲で結果、ボサノヴァと思われている曲があるんだ。それは<二十才の頃>です。リリースは1970年。あの頃、なかにし礼さんと安井かずみさんの3人でよく飲み歩いていたんだけれど、ある日、礼さんとかずみさんがふたりで詞を書いて、その横で俺がギターを弾いていたら出来ちゃった、みたいな曲なの。だから、現場で出来ちゃった的な自然な感じ。その頃、僕らは30歳ぐらいで、それでハタチの頃を懐かしがって作ったんです」


「1960年代後半、ボサノヴァはある種、日本でもヒットしていましたね。ただ、ブワ~っと大きなブームにならないところが素敵なところでさ。だって、売れることを目的にした音楽って感じじゃないし、気が付いたらいつもこの辺にいるっていう音楽でしょ、ボサノヴァは」


「1960年代後半から1970年代にかけてボサノヴァ調の歌謡曲がいっぱい登場したんですよ。浜口庫之助さん、筒美京平さん、村井邦彦さんなどが多くの和製ボサノヴァを作っております」


「僕はね、アントニオ・カルロス・ジョビンの作った曲やジョアン・ジルべルトの歌声は絵を見ているような感じがするんだ。風景画の中を飛んでいる海鳥だったり、そういうイメージが沸くんです」


「まあ、なんだかんだ言ってもボサノヴァはやっぱり、コードだな。ピアノで例えるなら鍵盤の並べ方が違う、みたいな感じ?目立たない子供が1番表面に出て、目立つ子が引っ込んでいる、みたいなインテリジェンスを感じるんだよ。どうなっているんだろうって考えちゃうみたいなさ。ロックでも“アート・ロック”なんかは色々考えさせるよな」