これまで誰一人として通ることのなかった街道脇の草むらの中で、関平と祝融は静かな夜を迎えようとしておりました。
昨日のような厚い雲に覆われることがなかったため、たくさんの星々は、儚い命を燃やしているかのように小さく光輝いていました。
ゆっくりと昇っていた月が落ちかけてきた時だろうか、数人の影が街道をこちらに向かっているのです。
その影がゆっくりと近づくにつれ、月明かりに照らされた姿がうっすらと見えてきました。
彼らは、旅人のようでもあり、行商人のようでもあり、明るい夜とはいえ人相や着ている衣服まで鮮明に見えているわけではないので、何者かまでは判断できませんでした。
そこで関平は、あらかじめ準備していた大きな袋の口を開け、中なら何かを取り出し、それを軽く投げたのです。
投げられた物体は落ちることなく、まっすぐと影に向かって飛んでいきました。
関平が投げたのは、大きなトビだったのです。
急に飛び出した大きな鳥に、普通の者なら驚くはずなのですが、その影たちは、まったく慌てることはありません。
そして、すぐさま、辺りを警戒しだしたのです。
その物腰は、到底旅人などには見えず、おそらく敵の間者に間違いないと、関平は確信するのでした。
