深夜3時

こんな時間だが

まだ寝れない


最近眠りが浅い


その割に日中疲れることも無いので

そんなに焦ってはいないのだが。





外からは電車の音が聞こえる

始発の準備をしているのだろうか?



電車の音で

昔、広島で働いていたことを思い出した


電車といっても

私が住んでいたのは広島の原爆ドームの近く


JRの駅は遠いので

聞こえてくるのは路面電車の走る音だ


20代の頃は

こんな時間でも3次会、4次会と称し

飲んでいることがあった


まぁこの時間になると

疲れきって

締めのラーメンを食べてたり

カラオケで死んだような顔をしながら

誰も知らないようなマイナーな歌を歌ってみたり

公園のベンチで缶チューハイ片手に

ぼんやりとしていたりしたのだが



とにかく広島では

全力で働いて

全力で飲んだ


古い考えかもしれないけど

当時の私にとっては

飲み会を楽しみ切ることも仕事の一環だった




月末最終日がすきだ


みんなで達成感を感じながら

乾杯をして飲むビールがすきだ


広島では

誰よりも負けないように

仕事をした


初めからやる気があった訳では無い


私に

「死ぬほど働け」

とAさんが言ってきた頃からだ


Aさんは

営業成績も取引先との連携も

当時新卒の私からすると惚れ惚れする仕事ぶりで

そんなAさんに急に誘われて

月末仕事が一区切りしたタイミングで

一緒に飲みに行った


サシで飲みに行くのは初めてだった


「月末のビールは味がちがうな!?

最高に美味い!!」


Aさんは気持ちの良い飲みっぷりで

ほぼひとくちでビールを飲み干した


飲みも終盤になってきたころ

こう言われた


「死ぬほど働いたら

後で自信に繋がる。

もし歳をとって死ぬほど働けなくなっても

後悔しないから

今、死ぬほど頑張って働け」



そこそこ頑張ってた私に対し

その言葉を残して

Aさんはある日きっぱりと寿退社をした


結婚とは無縁そうだったAさんの電撃発表に

私を含めた会社のみんなが驚いた


Aさんは最終出社の日に

「大きい数字を叩き出すには

大きい電卓が必要だ」

と言って、めちゃくちゃ大きい電卓をくれた


仕事が大好きで

取引先の担当者のことを

自分の親戚のように嬉しそうに紹介するAさんは


実はちょっと不器用だけど

いつも全力なAさんは


広島カープが大好きなAさんは


どんな想いで寿退社直前に

私に死ぬほど働けと言ったのだろうか




夜が終わって

朝が始まる瞬間を感じるときがすきだ


昨日あった

大変なことも

嫌なことも

一掃して


また新しく頑張ろうという気持ちになる



育休中の最中

また働きたいなぁと久しぶりに思いつつ


けれど

もう深夜まで飲み会に参加するのは

無理だなぁと思い


あのとき新卒の私を奮い立たせて

死ぬほど働かせてくれたAさんに感謝した