10年前くらい、塾講師してた頃

 

小学校低学年の生徒が

 

「ね~ね~、せんせい、

おれねぇ、きょう心がよわよわ」

 

って話しかけてきたことがあった。

 


 

 



私も特別元気な日じゃなかったし、

 

「そうか~よわよわか~

しょうがないよね~

そんな日もあるさぁ~」

 

って返したら

 

 

 

「そう、しょうがないわけ~」

 

とポヤポヤちからなく歩いて席に着き、

ずっと口をへの字にしていた。

 

 



休み時間も、周りが

ぎゃーとかうわーとか走りまわっているなか

 

彼はぽやーっと外を眺めていて、

 

気になるなぁと思いつつ

ただチラチラ見てた。

 

 

 


帰りにその子のお母さんが迎えにきて

自販機でコーンポタージュ買ってもらってて

 

まだポヤッとした顔だったけど

 

私が手を振ったら

 

口の端っこをちょっとあげて

小さい声で「バイバイ」と言った。



 

 

 



後日聞いたら、

その子の友達が数日入院してたらしい。

 

 

身体がよわよわになってた友達を心配して

心がよわよわになってたんだね。

 

 

 

あのとき

「いやいや、元気出せよー!」って

言わなくて良かった。

 

 

 

心がよわよわなときが

誰にでもあるね。

 

 

心がよわよわなときは

よわよわのままでいいね。

 

 


 

ここしばらく闘病中の友人の調子が

今までよりも少しだけ良くないと聞いて

 

あのとき心がよわよわ、と言った

生徒の声を思い出した。

 

 

 

 

それから最近


キース・ジャレットが2度目の脳卒中で

もうピアノが弾けないかもしれないと

ピーター・バラカンがラジオで話してた。

 


しかも敬虔なクリスチャンであるキースは

一切の医療行為を拒否して

祈りによる治癒だけを行なっているとのこと。

 



 

彼の身体は今、

実際よわよわなのだろうけど


心は、よわよわとは

全然かけ離れてるとこにあるんだろうな。

 



 

 

私はといえば今夜はよわよわから

まだ回復できそうにない。


 

そのままの心で

友達とキース・ジャレットに向けて祈ろう。

 



 

明日はもう少し明るい心で祈れるはず。