室内と外の境界線に 框の役割が… | marual ≒ manual

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ライフオーガナイザー®・インテリアコーディネーター_八木真里子
自分の心地いい暮らし__思考や時間を俯瞰して、限られた空間の日々の生活を、豊かなものにする力添えをいたします

空模様が忙しく変化する数日ですね。
お玄関の空間も、濡れた傘、濡れた靴底で、お掃除をしたくなる日も増えてまいります。

先日、我が家の玄関の框の記事を綴りました
框ひとつのこと、疑問に思わないほどどのご家庭にもあるもの。

●多くは、木であること
●段差の意味はある?
●框に役割は?

素材との相性から、斬新なデザインで、段差=框をデザインしたことから、ふと、原点に立ち返り拝読した書籍を、ご紹介したいと思っておりました。

ライフオーガナイザー®︎、インテリアコーディネーターの八木真里子と申します。

住宅の空間には、空間全体に繋がりはあるものの、使途によって、

●扉で、意図的に部屋を区切る
●素材の変化から、意識を変える空気感を作る
●段差を設け、異なる空間意識を高める

色々な方法があるかと思います。

90年代に出版された書籍ですが、
今なお大切に読み返すことがあります。
習慣の原点を知ること
住まう空間には、意味があることを教えてくれる教本、90年代の書籍ですので、現状当たり前になったスタイルも、こちらを記された時には、予見されながら記載された文章もあり、
逆に先見の明を感じながら拝読する昨今です。


表紙のイラストも素敵で
横線が、境界線に足を入れるかのような
想像を豊かにさせてくれます。
シンプルな書籍、
インテリア小物のような一冊も兼ねております。

けれども、内容には、深さがあり
日本人の住まいの歴史が紐解けます。

書籍では、
框について、沢田智子さんが、日本特有の玄関を面白い着眼点から西洋のしつらいと比較されていらっしゃいます。

外と中の境界線が、框の上を室内、下を外というように考えると、内外の境界線は框の段差
一方で、内外は、扉で区別する西洋

そこに、履物を脱ぐかどうかという慣例を加えると
框の段差こそ昔の家屋より、低くなった昨今でも、日本人は、框で外と中の区別を、無意識につけていることがわかります。
素材については触れられてはおりませんでしたが、
関心を深めたことは

どうぞ、おあがりください

そうなんですよね、お上がりください
私たちは、上がる  と、無意識に伝えているということなのですよね。
框の段差から、上がるという言葉があり、そこで靴を脱ぐ、という一連の動作が整えられる。

本当に無意識の行為です。改めて言葉にする方が違和感がありますよね。

自由な住居の昨今では、住まい方も様々と思います。
お入りください
という場合もあると思います。
沢田知子さんは、入るという表現を、玄関の扉に境界線がある海外の考え方で、捕らえていらっしゃいました。

なるほど、
腑に落ちます。

また、段差は、框だけではなく、我が家の場合
段差と、畳の部屋が、
偶然にも、揃った場所があるのですが


畳に上がる時には、スリッパも脱ぐことが当たり前に。

家のラグスペースや、カーペットのお部屋でも脱ぐことが多くないでしょうか。

どこにも決まりはなく慣例なのですよね。読後に考えても、

無意識でしている

という行為です。

沢田知子さんは、この当時から進み始めた
バリアフリー住宅になると、靴や、スリッパの脱ぎ履きがどのようになるか
という課題で、文章を将来につなげていらっしゃいましす。

清潔度も、記されており、ここにも共感しております。
土間    <    板張り    <     畳
このような意識、確かにありますよね、

家づくりの時、正しいことはないとしても、ゼロから作り上げる時、
何故だろう、という疑問は小さなことに出るもので、なんとなくそうなのかな、
と、曖昧にせず、その意味を知って、自分の理想が叶うか、プロの方と考えていくことは、住み心地に大きく影響するかと思います。

框の高さは年追うたびに低くなる傾向にもありますが、やはり、外と中を区別する境界線として、靴を脱ぐことの目安の場所。

こんな小さなことから考えてみることも、家づくりの楽しみかなと思います。


少し、専門的な言葉も綴りましたが
お読みくださり、ほんとうにありがとうございます。