「ISO 9001」の改正動向(ISO/DIS 9001:国際規格原案) | 京都で働くコンサルタントのブログ

「ISO 9001」の改正動向(ISO/DIS 9001:国際規格原案)

皆さん、こんにちは。
(株)マネジメント総研の小山です。

「ISO(国際標準規格)」は、「WD(作業原案)」、「CD(委員会原案)」、「DIS(国際規格原案)」、「FDIS(最終国際規格原案)」という段階を経て発行に至ります。

「ISO 9001(品質マネジメントシステム)」は、現在、改正手続きが進められており、「CD」について本ブログでも取り上げました。

▼「ISO 9001」の改正動向(ISO/CD 9001:委員会原案)/2013.7.16
http://ameblo.jp/management-souken/entry-11573241049.html


その後、2014年5月9日に「DIS」が発行され、現在、投票期間(7月10日~10月10日)となっております。

ということで、今回は、「ISO/DIS 9001」についてご紹介します。


章立てについては、他のマネジメントシステム規格と同様に、共通仕様に基づいて、以下のとおり10章構成で整理されています(下線箇所は、共通仕様から追加された「ISO 9001」固有の事項)。

1.適用範囲
2.引用規格
3.用語及び定義

4.組織の状況
 4.1.組織及びその状況の理解
 4.2.利害関係者のニーズ及び期待の理解
 4.3.品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
 4.4.品質マネジメントシステム及びそのプロセス

5.リーダーシップ
 5.1.リーダーシップ及びコミットメント
 5.2.品質方針
 5.3.組織の役割、責任及び権限

6.品質マネジメントシステムに関する計画
 6.1.リスク及び機会に対処する活動
 6.2.品質目標及びそれを達成するための計画策定
 6.3.変更の計画

7.支援
 7.1.資源
 7.2.力量
 7.3.認識
 7.4.コミュニケーション
 7.5.文書化した情報

8.運用
 8.1.運用の計画及び管理
 8.2.製品・サービスに関する要求事項の決定
 8.3.製品・サービスの設計・開発
 8.4.外部から提供される製品・サービスの管理
 8.5.製造及びサービス提供
 8.6.製品・サービスのリリース
 8.7.不適合なプロセスアウトプット、製品・サービスの管理

9.パフォーマンス評価
 9.1.監視、測定、分析及び評価
 9.2.内部監査
 9.3.マネジメントレビュー

10.改善
 10.1.一般
 10.2.不適合及び是正処置
 10.3.継続的改善



また、この改正規格を有効に活用するポイントの1つに、「戦略」という視点が挙げられます。

「4.1.組織及びその状況の理解」は、共通仕様に準拠し、組織の外部及び内部の課題を決定することが要求されています。

しかし、共通仕様にない「戦略的な方向性」という文言があえて追加されています(組織は、組織の目的及び戦略的な方向性に関連し、そのQMSの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を決定しなければならない)

これは、同じく共通仕様に基づき制定された「ISO 22301(事業継続)」や改正された「ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)」には見られないため、「ISO 9001」において、こだわって挿入された文言であると考えられます。

ところで、「ISO 9000」のファミリー規格には、組織の事業運営における持続的な成功を品質マネジメントアプローチによって達成することを支援するための指針である「ISO 9004:2009」があります。

この規格の「4.2.持続的成功」に、トップマネジメントの実施すべき事項として、“組織の戦略を達成するために適切なプロセスを確立し、それらが変化する状況に迅速に対応できることを確実にする”ことが挙げられています。

このことからも、“組織の戦略”を軸に品質マネジメントに取組むことが肝要である、と考えられます。

従って、「ISO 9001」改正版を有効活用するには、組織の戦略的な方向性に関連する課題を明らかにし、それを考慮した計画を立て、パフォーマンス評価では“組織の戦略”に着目して評価を行うことが持続的な成功につながると言えるでしょう。


なお、「ISO 9001」は、「FDIS」の発行を経て、2015年9月に改正版が発行される予定となっております。

引き続き、動向をウォッチして、情報提供したいと考えております。