私はアメリカ在住17年目になり、幸いなことにその間に病気や怪我をしたことは殆ど無く、サーフィンの板で手のひらを切った時と昨年、喉のがんではないか?と思うほど、喉が痛くて病院へ行った時の二回だけです。両親のおかげでかなり丈夫な体をしているので、本当に感謝です。

ただ、息子は比較的生まれた時から体が弱く、息子の事で病院に行く機会がたくさんありました。今日は日本からいらっしゃる方のためにアメリカの医療制度についてお話したいと思います。まず医療システムの話をする前に、アメリカの健康保険は本当に高額です。良い会社に勤めていれば、半額または全額負担してくれますが、私のような自営業者は全額負担になり、一人$200から$400の負担です。中年の私も子供も掛け金は同じような額です。家族が3-4人いれば、下手をすれば千ドル近くは行くと思います。しかも保険があるにも関わらず、病院に行くたびに$50-75取られ、大きな手術でもすれば、自己負担もかなり上がります。オバマ大統領は正直嫌いではないですが、健康保険の強制加入で、逆に保険料が跳ね上がりました、それでもサンディエゴには不法移民の為の「闇病院」のようなものがあり、その経費は納税者が払っています。低所得者や不法移民を守るのもいいですが、中間所得者層にはかなり不利な制度です。

面白い話があって、サンディエゴはメキシコ系移民、不法移民が多く、彼らは虫歯になったり、重い病気・怪我に掛かると、国境を越えてメキシコの病院・歯医者に行きます。メキシコの医療制度は日本と同じで、ほぼ無料の診察料・治療になります。これは歯医者でも、薬を買う時でも優遇されます。さらに面白い事に日本人の私がメキシコの病院に行っても(メキシコ人の友達がいれば)住所さえ証明できれば、無料です。

アメリカの医療制度は医者への訴訟(→弁護士の利益)、健康保険会社のロビー活動、医療制度の崩壊のせいで、はっきり言ってめちゃくちゃです。息子の検査や診察の為に病院に行きたくても予約が取れるのは1-2週間後、かかりつけの医者や専門医に質問をしたくて電話しても電話に出ないか、折り返しが掛かってくるのはよくて、2,3日後です。

お金さえあれば、確かに技術や設備はアメリカが世界一ですが、普通に暮らしている市民にははっきり言ってアメリカの医療制度は先進国の中でも最悪です。昔のマイケル・ムーアのドキュメンタリーで「シッコ」という映画http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%B3がありましたが、先進国ではない、キューバや、メキシコの方が、医療制度はずっと充実しています。

アメリカでちゃんとしたお医者さんに掛かるには、「コネ」が必要です。病院の関係者を知っているか、お医者さんを知っているか、いろいろありますが、「医者」、「弁護士」、「車屋さん」の三つはカリフォルニアで生きていく三種の神器だと思います。