・・・洲之内コレクションに関する展覧会を、調べてみました。
●三重県立美術館
514-0007三重県津市大谷町11番地/059-227-2100
「洲之内コレクション-気まぐれ美術館」展
2000年4月8日(土)~5月21日(日)
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/55393038466.htm
●茨城県近代美術館
310-0851茨城県水戸市千波町東久保666-1/029-243-5111
「気まぐれ美術館-洲之内コレクション」展
2005年4月9日(土)~2005年6月5日(日)
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/archive/kikaku/index.html
●ミュジアム・フロムウィンズ
250-0134神奈川県南足柄市雨坪404/0465-74-1559
特別展「洲之内徹の眼」2011年3月3日~7月24日
企画展「気まぐれ美術館の絵描きたち」2013年8月8日~2014年1月26日
・・・オーナーの窪田さんは「松田正平」さんのコレクターです。
《参考》松田正平(1913~2004)
http://www.museum.or.jp/modules/topics/?action=view&id=308
1913(大正2)年、島根県生まれ。山口県宇部市で幼少期を過ごし、東京美術学校からパリに留学。戦争で帰国した後は神奈川、山口、東京、千葉と移り住みながら創作を続け、2004年に91歳で死去しました。一般にその名が知られるようになったのは晩年になってからですが、おおらかでほのぼのとした作品は見る人の心をとらえます。東京美術学校では藤島武二に学んだ松田正平。その作品は、戦前から戦後にかけて少しづつ厚塗りになっていきます。1960年頃には絵の具の塊がカンヴァス上に附着するようになり、油絵の具と格闘するように創作を続けていきました。その後、徐々に作品は薄くなり、80年代には透明感のある水彩のような表現に変わっていきます。古い蔵の中を使ったアトリエで黙々とカンヴァスに向き合った作品は、美術評論家★洲之内徹らに評価されるようになります。そして1984年には第16回日本芸術大賞を受賞、この時松田は71歳でした。松田正平のアトリエには★「犬馬難鬼魅易」と書かれた自筆の短冊が置かれていました。身近なモティーフを好んだ松田の姿勢が現れています。長い間不遇の日々を過ごしながらも、真摯に油絵と向き合った松田正平。「わたしは油絵がわからんから生涯描くでしょう、油絵を本気で。」
《犬馬難鬼魅易》(ケンバムツカシキミヤスシ)
https://www.gungendo.co.jp/article/details/000440.php
これは画家の松田正平さんや白洲正子さんが大切にされた言葉です。『韓非子』のエピソードに拠っています。皇帝が宮廷画家に「描きやすいもの、描きにくいものは何か」と問うと、画家は「鬼や魑魅魍魎などの奇異なものを描くのは簡単だけれど、犬や馬などの平凡なものを描くのは難しい」ということ。当たり前のものを当たり前に描く難しさ、そして、平凡なことに繰り返し感動できるすばらしさを云っています。
《参考》一日違いで生まれ美術を学んだ二人、それぞれの人生の軌跡/文:福田和也
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2768
洲之内徹は、薔薇を描かせて名人は、梅原龍三郎と児島善三郎、そして松田正平だと語って、「やめなさい」と松田さんにたしなめられたと書いている。
松田正平は、大正二年一月十六日、島根県鹿足郡青原村に生まれた。洲之内徹は松田が生まれた翌日、愛媛県松山市大街道で生まれている。一日違いで生まれた二人の軌跡は、途中まではかなり似ている。
十二歳で松田は山口の宇部中学、洲之内は愛媛の松山中学に入学し、相前後して油絵具を入手し、絵を描きはじめる。上京は洲之内の方が一年早かった。昭和四年の夏休みに美術学校受験のため東京小石川の川端画学校に入門した。翌年、洲之内、松田の二人は美術学校を受験。洲之内は合格するが(建築科)、松田は落第し、洲之内の後塵を拝する形で川端画学校で受験勉強をする。昭和七年、松田は美術学校の西洋画科に合格、藤島武二の指導を受けることになった。この時すでに洲之内徹は、左翼活動に足を突っ込んでいた。同年、洲之内は治安維持法違反で検挙され、美術学校を退学処分になり、松山に帰郷するが、松山でも左翼活動により逮捕されて、一年三ヵ月ほどの拘置所生活を送る。
一方、松田は順調に画壇での地歩を固めていった。昭和十年帝展に入選、翌年には文展にも入選している。昭和十二年、美術学校卒業後、松田は五年の予定でヨーロッパ留学に出発。洲之内は翌年、北支那派遣軍宣撫官として中国にわたった。ここで二人の人生は大きく分かれる。
【Alex Kerr 】
米国メリーランド州生まれ。1964年初来日。少年期に体験した日本の美しさと失われゆく現状を国内外に訴え、次代へ残すべく、文化芸術活動の推進、講演、執筆活動など幅広く行い、日本各地に残る美しい風景と文化を守り伝える事業を推進。東祖谷に残る古民家を再生、活用する新しいもてなしの形をプロデュース。著作に「美しき日本の残像」(1994年新潮学芸賞受賞作)、★「犬と鬼」などがある。
・・・ちなみに「犬と鬼」という本は、アレックスさんが★白洲正子さんの自宅にかけてある短冊を見て、インスピレーションを受けたそうです。
その短冊というのは、白洲さんが千葉・鶴舞にある★松田正平さんのアトリエを訪れた時、壁に貼られた「犬馬難魑魅易」の短冊を見つけ、所望して貰い受けてきたもので、その一件をエッセーにも書いておられます。
なんとも不思議なくらいに、スゴイ人たちはつながっています。共通の「価値観」「美意識」「感性(知性)」がそうさせるのでしょう。