昨年の再会は
仕事中の神奈川県大和市の海軍道路だった



また今年も会えた
この時期の、この季節の、この子たちに





桜の頃までの忙しさが噓のように
いまの、この時期を、のんびり過ごしている


同じ時間なのにな… 
過ぎて行く時の流れが、ゆったりと穏やかだ




こんなにも違うものなのかな



スローライフ…



こんな時間の流れ方の感じなのかな…





朝に挨拶をした、家のテラスに座り
そこからの景色を眺めている老人がいて


帰りにもまた
朝と同じように庭からの景色を眺めながら
座っている


朝と同じように挨拶をすると
老人は、にっこり微笑んでいた



老人は、そんな止まっているくらいの
時の流れを楽しんでいるんだと




イギリスとオランダに住んでいた
帰国子女の友人が語ってくれたことを
思い出した






そんな時の流れが止まっているような生活



心のどこかでは確かに憧れはある、だけど
この便利な生活に慣れ過ぎてしまっている



もう少し、この時の流れが早い場所と共に
いま、というこの時間を楽しむことにする







きょうは初夏を思わせる日差しだな




あの子たちは、いつもどこにいるのだろうか
と、考えながら





近ごろは当たり前のように
頼りっぱなしになっているナビを使わず


おぼろげな記憶を駆使しながら
道と道を結び付けて行く



この時期、リモートワークや外出の自粛で
比較的に道も空いていて



仕事自体が減っていることもある


普段とは比較にならないくらい
気持ちがゆったりとしている



そんな気持ちのゆとりが
自然にナビの画面をOFFにさせる




確か、ここを曲がると

あそこに繋がったよな…


すると大きな公園の真ん中を通る道に出た



その道の両脇には新緑のアーケードのような
若葉がお生い茂っていた



その瞬間に景色が変わり
この時期だけの鮮やかな緑に包まれる



アーケードに一歩を足を踏み入れると
新鮮な空気、ヒンヤリとした肌触りに



この季節しか味わえない匂いも纏っている



ずっと、この空間を走っていたい

そんな感覚に浸っていると




また会えたね



子供の声が聞こえた気がした



今年もまた

会えたね




この季節の新緑のアーケードの空間に
身を置いている時にだけ聞こえてくる



木々の子供たちの声が
笑っている




数え切れないほどの新緑の葉たちから
聞こえてくる



その声が空気を伝わり


僕は、その声を全身で受け止め
心身の細胞たちが新陳代謝を始めるのを
感じていた




そして、その空間にいる間
時間は止まっていた





また会おうね



アーケードの出口で
子供たちの声が伝ってくる





そうだね
また会おうね



そう答え



遠のく子供たちを見ようと
ルームミラーを覗く




僕もいつか
あの老人のように



時が止まるほどの時間のなかで
一日中好きな景色を眺めて過ごしたい




そしたら季節に関係なく
いつでも木々の子供たちに



会えるような気がした




また、会おうね


まなぶ