どうかしたんですか



コンビニの駐車場に沿った
少し広い歩道にバイクを乗り上げ


駐車場と歩道との境の丁度良い高さの
コンクリートに腰を下ろしていた



声を掛けて来た若者は
イマドキのバイクで近所のコンビニに
買い物で寄ったようだった



休憩だよ




久しぶりの暖かな陽気の心地良さと



コロナの影響だろう
車道の両側から桜の花びらが舞い延びる


八王子の法政大学を横切る
この街道を通る車や人の姿は少なく



いつもより少し長い時間を走っていた





こまめに休憩を取る事にしている
10代に走っていた頃と違いを感じている



走る速度も、その当時に比べれば穏やか




30年以上前の古いバイクを
街道沿いの歩道に乗り上げて



その傍らに座っているオッサンに




ガス欠か故障だったら
家が近いんでと思って



イマドキのバイクに乗る若者は
声を掛けて来た理由を告げた





ありがとう



短い感謝の言葉とは裏腹に
何とも言えない



驚きと温かみと爽やかさが
僕のこころのなかを満たしていった




最近の若いヤツは…
延々と受け継がれて来た言葉




僕が彼くらいの年の頃
彼と同じことはしなかったと思うし


していなかったと思う





この言葉は思い通りに行動しない若者への
自分の常識にとらわれた人の言葉





数え切れない人との出会い
続いて行く出会い、その場限りの出会い




そんなことを想うとね
何かを与える人、感じさせてくる人に



年齢や年代、男女の性別、社会的地位とか
全く関係ないんだと本当つくづく思うよ





自分もそんな人間になろうとか
そんな意識するような事でもないんだけど




緊急事態宣言、翌日のその日は
その場限りのイマドキのバイクに乗る



若者に明るく爽やかな気持ちにして貰った





僕も今の彼のように
イマドキのバイクに乗る若者の時代があり



いまに至るまで数え切れないほどの人達から
数え切れない良い感情、悪い感情を感じた




人は多かれ少なかれ良いも悪いも
影響を与え合いながら生きている




いまとなっては
どれもこれも懐かしい思い出だし


そんな思い出が自分が生きてきた証の財産




これからも、その財産を共に増やしてきたい





だから、数え切れない人との出会い
続いて行く出会い、その場限りの出会い



これまで出会ってくれた人
これから出会う人、出会わない人も




無事でいて




まなぶ