途中下車




あなたが小さい頃に

お父さんと遊べなかった
あなたの代わりに息子さんは


父親となった
あなたと遊ぶ為に


あなたの元に来てくれたのよ…






僕が、40半ばに少年に戻り
「銀河鉄道」と名付けた旅に
導いてくれた女(ひと)の言葉






僕がいまの彼と同じ位の歳の頃
父は病院に入っていて


中学の時に空へと還っていった




父親の存在をあまり感じずに
育った僕は何処かに


男臭い強さに憧れを持っている

自分もそんな男でいたいと




実際にそうであるかどうかは
別にしてね





来年、中学にあがる息子


小学校の時とは違い
自分の人生という扉を開き


歩み始める




自分の考え、自分の感覚、自分の判断



親からの教えから
少しずつ自分の行動を決め始める





男親だからね
彼が多少のワルをしても


笑っていると思う


内心じゃぁ喜んでるのかも知れない




中学生の男の子の
お母さん方、ごめんなさい




僕が中学だった時
勉強はしない、部活は途中で辞める
イジメに会う、学校行にかなくなる


そんなんだった





父親が元気でいたら
どんなだったんだろうな



きっと何も言わず
ただ見守ってるような気がする



幼い時の父の少ない記憶からの想像




何かを言って貰える愛情


何も言わず見守って貰える愛情




比較することに何の意味はなく
そこに愛情は存在する






彼の小学生最後の運動会の翌日
僕は彼をバイクの後ろ乗せて走った



時々、僕の腰にしがみつき
背中に彼の存在を感じながら走った





エンジンの音とヘルメットで
会話らしい会話はできない



ただ、間違いなく
言葉は伝わらなくても



その背中越しに愛情は存在した





賢いこと、上手な生き方、勉強
教えてあげることは出来ない



不器用に、泥臭く、人間臭く
背中越しに自分らしく生きようとする


姿しか





バイクを降りた彼は言った


「パパの背中が大きく感じて」
「カッコよかった」





僕は父の存在を
もっと感じたかった


彼が僕の代わりに感じてくれた




僕が父に成り代わり
僕の代わりに来てくれた
彼に言った




言葉では伝えられなくとも

どこにいようとも


例え、存在は無くとも




ずっと

君を愛してるよ




まなぶ