僕はいまでも憶えてる

息子が泣くことを抑られた時のことを



小学校にあがるかあがらない位

の頃だと思う



それまで下の方からのツンとした

ものが鼻から抜けて目、口と広がり

泣き声をあげていた






今日はね、息子の運動会だった







もう、先月になったのか

数日間の入院から仕事に復帰した



大丈夫ですか、無理しないでください



復帰直後にしか、かけられない言葉

会社に出れば休んだ分の仕事も持たされて

容赦なく追っかけてくる




クタクタになりながら月末を乗り越えて

翌日の息子の小学校最後の運動会

正直、体はシンドイ





ウン十年と、遠い記憶

小学校の運動会も変化してるんだね




騎馬戦なんかも何組もの騎馬が一斉に

乱れながら、もみ合いながら

ハチマキを奪い合うものから



一組と一組が相撲を取るよにう押し合い

その騎馬の周りには先生が3人で

崩れる子供を受け取る

崩れた方が負け




こんなの騎馬戦じゃない

自分達の時代の騎馬戦は…なんて

文句を言いたい訳ではなく

時代の流れなんだよなと思った





ただ、僕的にはマスゲームがなかった

ことは少し残念だった



自分の頃の小学6年の最後の晴れ姿

親御さん、先生、仲間達への感謝を


体を使って一緒に過ごした同級生達と

様々に形作り曲に合わせ表現する



いつも卒業生の

そんな姿に感動し泣けてくる




僕の時の曲は八神純子さんの

「パープルタウン」だった

古いよね(笑)




子供たちの数も僕の時と違うね

赤組、ピンク組対青組、みどり組の色分



応援合戦の曲は

星野源さんの「SAN」、現代を表す曲と

ZARDの「負けないで」、引き継がれる

曲だった





お昼には息子と元嫁さん

それと元嫁さんの御両親と

彼女と別れてから数年ぶりに会い

一緒にお弁当を食べた


僕達が選んだ別々の道に

言いたい事が山ほどあるだろうに

たくさん作ってきたから

いっぱい食べて、と



ありがたかったな




お弁当を食べながら

息子と息子の組が勝ったら

今度のおこずかいは倍にする約束を

させられた(笑)


そんな、いつものやり取りが嬉しい




午後の親御さん低学年の競技が終わり

高学年のリレーへと続き最終種目


縄跳び、二人三脚、ムカデ競争などの

複数の組み合わせによる全校生徒が

参加する混合リレー




抜きつ抜かれつ勝敗が決する

最後のレースに会場全体が一体となり

盛り上を迎えた




パーン! 終了を告げる音




息子の小学生最後の運動会は終わった

閉会式を待たずにキャンセルできない

仕事に向かう僕は息子のいるところへ




泣いていた


下唇をへの字に震わせ泣いていた頃の

幼い時の息子の泣き顔ではなかった


ツンとしたもの広がる幼い頃の

泣き方ではなく




思い感情を

我慢できず、抑えきれず、堪えきれず


彼は泣いていた





頑張ったなと、頭をなで

泣きながら閉会式に向かう

息子の背中を目で追った






僕は大人の階段を登る

彼の泣き顔を目に焼き付けながら

小学校を後にした





まなぶ