3月に入り会社で異動の内示が出てから

誰がどこに行く、誰に異動がなかったとか

昇格・降格の話が社内に伝わって行く


関わりがあった人達の話しなども耳にし


そうなんだ、よかったね


そっか、たいへんだね


なんて心の中で思うこともある


先日

前の支店で一緒だった後輩が異動する

とのことで当時よく飲みに行っていた仲間

で集まり送別会をした


このメンバーは今は別々の支店で

どちらかと言うと出世というものに縁が

あまりない(笑)


僕が数年前のシンドイ時期に一緒にいた

メンバー


集まれば、思い出ばなしや下らない冗談

エッチな話し(笑)をしながら旧交を温める


会の終盤で前の支店で新卒で入り1年程共

に仕事をした男の子が来た


この子は純真で真面目で不器用

僕と同じ天然で心屋で言うところの後者の子


20代前半で女性と付き合った事がない


会に遅れて来たことや一番下の後輩が幹事を

しなかったことを社会人としてと先輩達から

お説教を受ける


ここで僕はこの子の変化を感じたんだ

以前の彼は学生時代に野球部で体育会だった

こともあり素直に先輩からのアドバイスを

受け時には笑顔を見せながら聞いていた


でも、今ここにいる

彼の顔には表情が全く無くなっている


ただ、ここに居るだけ

体が置いてあるだけだった


以前からそんな彼の話は少し耳に入っていた

営業職になり初めて経験する大人の世界で

数字がすべての評価の中で上司、先輩からの

プレッシャーを毎日受け続け


真面目過ぎで純真で不器用な彼は笑顔を

無くしてしまった


無表情のまま涙が流れている


帰り道の少しの時間に彼は


「周りの人から色々なことを言われ過ぎて

  なにが正解で

    どうしたらいいのか分かりません」


               と呟いた



人の正解に合わせて答えをだそうとして

また違う人に言われれば違う人の正解を

答えとしてしまう


真面目過ぎで純真で不器用な彼は自分の心の

答えが見えなくなってしまったんだ


僕は自分の心で思ったことや失敗もして

経験をして心で感じたこと


それが世間や周りの正解ではなくても

それが君の正解なんだよ

と、そう伝えた


今、周りからダメ出しをされている自分に

自分が自分を労って、よく、がんばったね

と褒めてあげなさい

と、そう伝えた


最終の電車を降り

彼に向かい

僕もそうだったから

大丈夫だから

そう信じているから

と心の中で呟いた


そして僕自身にも



そう呟いた…