抗うつ薬は、ある一定のうつ病の人たちには、効果があるんだろうと思います。
しかし、「抗うつ薬の効果が現れる」うつ病の特定は難しいです。
うつ状態というのは、いろいろな原因によって起こるものです。
躁うつ病でもうつ状態になるし、大うつ病でもうつ状態になるし、心因性のうつ状態もあります。
これらすべてをひっくるめて、抗うつ薬で治療しようというのは、間違っているでしょう。
抗うつ剤の中には、プラセボと比較してほとんどエビデンスが出なかったのにごり押しで認可された薬もあります。
うつ状態に対して、本当に効くのかどうか懐疑的です。
また何より問題となるのは、抗うつ薬による「賦活症候群 activation syndrome」でしょう。
この状態は、おそらく5HT2c受容体におけるセロトニン量の増加が原因と思われます。
賦活症候群となると、幻覚・妄想が出現し、興奮・衝動性の亢進も認められます。
こういった状態に対して、SSRI中止による治療を行う医師は少ないです。
大概の場合、抗精神病薬の追加によって対応されることが多いです。
こういったタイプの方は、減薬や、気分安定薬による治療によって大きく改善しています。
SSRIやSNRIといった抗うつ薬には、こういったものが「製薬会社が言うよりよっぽど多い」ということを意識して使う必要があると思います。