かすれていく明かりを瞳から消していく。やがて奥から一粒の涙が覆い溢れ出していく。頬を伝い流れていくのを感じながら、眠りについた。目が覚めると、カーテンの隙間から光が差していることに気づいた。徐にカーテンを開ける。清々しい朝だ。

んっ?何かおかしい。

布団に埋もれている時計を見てみる。

12時48分。

疑った。きっと止まってしまったのだろう。もう随分と電池を換えていない。だが、現実はそう甘くなかった。夢から引きずり落とされた感じだ。

行洋「やべぇ!遅刻だ!!」

急いで顔を洗い、支度を済ませアパートを出る。
幸い大学まで自転車で20分もかからない。白い息を切らせながら、ペダルを漕いだ。南門から校舎に入り駐輪所に止め、急いで駆け出し、階段をのぼり廊下に差し掛かった所で窓の外に美穂がいるに気づいた。足を止めてしまった。
そこに美穂を見入っている自分がいた。男と話している。所々笑みを浮かべながら話している。おそらくあの男だ。横には赤いスポーツカー、高そうなスーツを着こなしている。それに引き換え俺は、何年も前の物を未だに着ている。おまけに頭に寝癖が付いていることに気づく。駄目だ。到底勝てない。何も無い自分に苛立ちを感じた。