最近、「電子レンジを使わずに冷凍ごはんを美味しく食べる方法」を模索している。
冷凍ごはんを温める方法として最もメジャーなのは、やはり電子レンジだろう。「レンジでチン」だけに、とにかく「楽チン」。僕もずっとこの方法を続けてきた。しかし、どうしても味が落ちる。
おそらく「蒸す」のが一番だと思うけれど、まずは一番簡単にできそうな湯煎(ゆせん)からやってみることにした。
ちなみに失敗しても美味しく食べられるように、まずはパウチのカレー(夏祭りの射的でゲットした、無印良品の「バターチキン」)をかけて食べることにした。
ラップに包んだ米を、さらにフリーザーパックに入れて密封し、それを鍋で沸かしたお湯の中に放り込む。
手持ち無沙汰な感じで、なんとなく湯煎している鍋を眺め続ける。腕組みしながら。あまり他人に見られたくない姿だ。
そうして沸騰する鍋を眺めているうちに、突然、全身に稲妻のような衝撃が走った。
「そうだ!この湯煎しているお湯の中に、カレーのパウチも入れて、一緒に温めてしまえばいいじゃないか!!!!」
自分の天才ぶりに半ばあきれながら、僕はカレーのパウチをお湯の中に放り込んだ。
「会心のアイデア」としか言いようがない。
……さて、結果から先にご報告すると、湯煎は失敗だった。
料理経験が少ない僕は哀れにも、冷凍庫から出してカチカチのままのごはんを、そのまま湯煎した。するとどうしても、中の方に冷たい固まりが残ってしまう。
もちろん目的は「冷凍ごはんを美味しく食べる方法」だが、やっぱりその前に、冷蔵庫で解凍するぐらいはやっておいた方がよかった。
でもその失敗の全てを、無印の「バターチキンカレー」がカバーしてくれた。天才的な商品だと思う。
そしてその天才的なバターチキンカレーに匹敵するほど天才的だったのが、「湯煎しながらパウチを温める」という僕のアイデアであったことは言うまでもない。
実は以前、「なぜ僕のところにマッキンゼーからオファーが来ないのか毎日不思議に思っている」というブログを書いたことがある。
「洗濯機を回しながら別の作業をする」という極めて効率的なことを実践していたにもかかわらず、だ。
それはずっと謎のままだった。
しかし今日、その理由がようやく分かった。
僕はもう、「マッキンゼーを卒業していた」のだ。
「いや、そもそも入社してないやん!」と人は言うかもしれない。だがそんなことはどうでもいい。
「洗濯機を回しながら作業」の時には気づかなかったが、「湯煎しながらパウチも温め」というアイデアを実践した時、自分自身が「もはやそのレベルにない」、すなわち、「とうにそのレベルを超越していた」ことに気づいたのだ。
コンサル業をなりわいにする気は特にないが、依頼があれば断るつもりはない。
才能は、自分のためにではなく、他者のために使うべきものなのだから。