自宅の郵便受けに、日本時間学会の学会誌『時間学研究』(第9号)が届いていました。
さっそくパラパラとページをめくっていると、目に飛び込んできたのは「杉原氏」という文字。
「ん?」と思って見てみると、それは今回新たに創設された「学会賞」の総評ページでした。
学会賞は別の人が受賞したはずなので、「何だろう?」と思って読んでみると、受賞した論文以外に、4本の論文が取り上げられ講評されていました。なんとそのうち2本が僕の論文だったのです。
寸評ではありましたが、何よりうれしかったのはその内容でした。
杉原学「「ヴァナキュラーな暦」としての自然暦」(第7号)は、着目したテーマに好感が持てる読んでいて楽しい論文であった。同著者による「人間の個人化と未来への不安」(第3号)もそうであるが、発表の場として、他の学会誌ではなく、学際性の高い日本時間学会の学会誌でなければならない理由が十分にあると捉えられる。杉原氏の活動について、今後の広範化・深化を見守りたい。
(学会賞選考委員会「日本時間学会第1回学会賞総評」『時間学研究』46頁)
……ぜひ見守っていただけると幸いです(笑)。
さて、何がうれしかったかと言えば、とにかく「読んでいて楽しい論文であった」と思ってもらえたこと。
「正しい論文であった」と言われるよりも、「楽しい論文であった」と言われる方が、僕にとっては100倍うれしいことなのです。
しかし当然ながら、ただ「楽しいだけ」では載せてくれないのが学会誌の厳しいところで(笑)、僕も一度、査読で落とされたことがあります。しかしその査読コメントが実に的確で勉強になり、それだけでも論文を投稿した価値があったと思ったものでした。
学問の世界では、研究領域の専門分化が進み、それによる「タコツボ化」の弊害がかなり表面化してきています。「原発の安全神話」などはその最たるものではないでしょうか。
そんな中、「時間」という概念を通して、理系・文系を問わず、学際性の高い研究を奨励する日本時間学会は、とても面白い学会だと僕は思っています。
ちなみに、今回取り上げてもらった僕の論文は、下記の「J-STAGE」からPDFでダウンロードできます。
■「ヴァナキュラーな暦」としての自然暦
https://www.jstage.jst.go.jp/article/timestudies/7/0/7_47/_article/-char/ja
■人間の個人化と未来への不安
https://www.jstage.jst.go.jp/article/timestudies/3/0/3_61/_article/-char/ja
また、Kindleで読みたいという方は、下記から電子書籍版を購入することもできます。
拙著ではございますが、面白がっていただけたらうれしいです。