電子書籍で、新しい本を出版しました。タイトルは、『コピーライターは、時代の穴を埋める』。
これは、日本広告業協会が主催する「懸賞論文募集」(2003年)の入賞作品。そう、僕がまだ広告会社に勤めていた頃に執筆した論文です。
論文と言っても全く小難しいものではなく、お笑い芸人の「あるあるネタ」から議論がスタートします(笑)。
当時の論文を改めて読み返してみると、思いがけず、現在につながる問題意識がすでに現れていて、それは自分にとって新鮮な驚きでした。このことが、今回この論文を電子書籍にしようと思ったきっかけでもあります。
今ではプロフィールにもあまり書かなくなった、広告会社でのコピーライター時代のエピソードなんかも書いています(笑)。よかったらご一読くださいませ。
冒頭の部分を少しだけ公開しておきますー!決して「お笑い論」の論文ではありません(笑)。
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■最近のお笑いネタに見る共感性
鉄拳、いつもここから、さまぁーず、テツandトモ、ふかわりょうetc……。
彼らお笑い芸人の書いた本が今、爆発的に売れている。これらはいずれも(多少例外もあるが)、短いセンテンスで書かれた言葉をたくさん載せた体裁になっている。
例としてそれらのネタをいくつかご紹介しよう。
まずは『テツandトモのなんでだろう』から。
・昆布が海の中でダシが出ないの なんでだろう♪
・教室のカーテンに巻き付いて遊んでいるヤツ なんでだろう♪
・運動会のリレーで手をまわしながら走るヤツ なんでだろう♪
・山登りをする人はみんなチェックの服なの なんでだろう♪
続いて、ふかわりょうの『休んだ日に席がえ?!』から。
◎気まずい
・親戚そろっての食事
・家族で見ていたドラマがベッドシーンに突入
・寄せ書きまでしてもらったのに、転校延期
◎さみしい
・夏休み、自転車で日本縦断したが、特にフューチャーされなかった
・電車の扉付近にいたため、一旦ホームに降りたのに、誰も降りてこない
・同窓会があったらしい
読んでみると、確かに面白い。「そうそう、そうなんだよな」と身に覚えのある場面や気持ちに共感させられたり、「なるほど、なるほど」と自分と違う視点に驚かされたり。人間が生きている上で感じる小さな心の動き、発見を見事に拾い上げて、読む人を引き込むネタへと昇華させている。そこで、ふと気がついた。「これって、コピーライターの視点だよな」。
私がいつも探しているものを、彼らも探していたのである。
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