自分というジョブを育てていく | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

僕たちはつい自分と他人を比べてしまう。そうして時に落ち込んだり、時に傲慢になったりする。

 

そんな時は、それぞれの個人を、ロールプレイングゲームでいうジョブ(職業)のように考えるといいのではないだろうか。

 

たとえばドラゴンクエストなんかだと、「勇者」「戦士」「僧侶」「魔法使い」のように、それぞれ特徴を持った職業があり、互いの能力を補いながら冒険を進めていく。

 

勇者には勇者にしか使えない技があり、魔法使いには魔法使いにしか使えない魔法がある。それをマスターするために、それぞれの職業でレベルを上げていくことになる。

 

だからここで、勇者が魔法使いの魔法を使えないからと落ち込んだり、魔法使いが勇者のような技を使えないからと落ち込む必要もない。それぞれの職業でレベルを上げればいいのである。

 

だから、たとえば山田太郎さんは、山田太郎という職業なのだと思って、山田太郎としてのレベルを上げていけばいい。そうすると、いつのまにか、山田太郎にしか使えない技を覚えるかもしれない。

 

たとえば、あるひきこもりの田中太郎さんがいたとする。そのままひきこもりのスキルを上げていけば、「究極のひきこもり」という特殊能力を獲得することになるかもしれない。

 

レベルが低いうちは「ひきこもってる自分なんて……」という葛藤にさいなまれたりするのだが、レベル99とかになると、もはや葛藤などはなくなり、無の境地を獲得する。もしも環境が変わってひきこもる必要がなくなったとしても、圧倒的なスキルで「ひきこもり可能な環境」を自ら創造し、その状態を維持することができるようになる。「自立支援員」などがやってきても、なぜか感銘を受けてそのまま帰っていく。やがて弟子になりたいと人々が殺到し……ということもあるかもしれないのだ!

 

ファイナルファンタジーというゲームで、一番弱いジョブは「たまねぎ剣士」だが、実はそのまま最高レベルまで育てると、あらゆるジョブの中で最強の強さになるという仕掛けがある。実際にもそういうことはあるのかもしれない。

 

そんな話を友人にしたところ、「そういえば、宇宙飛行士に一番必要な能力は、全く外界から遮断された環境の中で、いかに孤独に耐えられるかだそうですよ」という話を聞いた。それ、まさに「ひきこもり能力」ではないか!

 

きのうまで「ただのひきこもり」だった人が、いきなり、「きのうNASAからオファーがあって、火星に行くことになってさ……」ということがあるかもしれない。NASAもびっくりしているだろう。「おい、こんなにたくさん宇宙飛行士の適性が高い人間がいるなんて、日本はなんてクレイジーな国なんだ!!」と。

 

自分のレベルを上げたときに、自分にどんな能力が身に付くのかは、きっと誰にもわからない。でも、だから面白い。他人の能力をコピーしようとしても、その人以上にうまく使いこなすことは多分できないし、そもそも面白くないではないか。

 

 

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