朝、びっくりすることがあった。
起き抜けに珈琲を淹れていたときのこと。
ちょっと甘いのが飲みたいなと思って、
砂糖をコーヒーカップに入れた。
それをかきまぜようと、
食器棚からスプーンを取り出す。
そこまではよかった。
僕は何を思ったか、
取り出したスプーンを水で洗い、
珈琲をかきまぜることなく、
そのまま食器棚に戻したのだ。
そしておもむろに珈琲を飲む。
「苦いな!!」
当たり前だ。
砂糖はカップの底に沈んだままだ。
すぐに気づいて、
今度はちゃんとスプーンでかき混ぜた。
これにはさすがに自分でびっくりした。
「これが『寝ぼけ力』か……!!」
朝は日中の何倍も作業がはかどるというが、
その秘密はこの「寝ぼけ力」にあるのではないか。
それは「考えずに」ものごとをやる力であり、
ナチュラルな「瞑想状態」と言うこともできる。
苦い珈琲の代償として、
またひとつ真理に近づけた気がする。